この本では、多くの中小企業が分類される市場での位置づけ。
フォロワー:トップ企業や2番手企業などの動きを追いかけるその他の企業
の競争戦略について論じています。
大多数のいわば平凡な中小企業、フォロワーは。
市場(お客様、お客様の候補)から見て。
差別化して特長やセールスポイントが明確で競争力のある企業とか。
絞り込んだ市場で特化して、競争力を身につけた企業など。
ニッチャー:業界他社とすみ分けが出来ている企業
とは違って。
市場の差別化も絞り込みも出来ていない、競争力に乏しい状態だと言えるでしょう。
このような多くの中小企業は、よく耳にする次のような戦略。
ランチェスター戦略(弱者の戦略):一点集中、局地戦、細分化
市場シェアNo.1・No.2戦略(GEのジャック・ウェルチ):選択と集中、弱い市場は撤退
という戦略が取れていないわけですが。
そもそもフォロワーに、このような選択と集中の戦略は。
「そのままでは当てはまらない」と著者の手塚貞治さんは述べています。
選択と集中は、根本的にハイリスク・ハイリターンな考え方であるので。
あくまでも、トップかトップと競い合えるNo.2という立場の企業だからこそ活きる戦略。
そこでフォロワーは、リスクを抑える考え方が不可欠であって。
リスクを抑えながら戦略を選択するべきだと手塚さんは指摘しています。
そのためリスクを抑えるというか、むしろリスクをさける戦略が優先。
つまり「競争回避」の戦略を最善策と示してくれていますが。
この意見には、わが意を強くしました。
というのも、誰かと競争するという発想をベースに会社経営の戦略を考えると。
どうしても固定的な考え方や一定の方向性しか見えなくなる危険があります。
しかし会社の経営、やお店での商売というものは。
もともと、市場(お客様)や社会に迷惑をかける、ダマすなどの行為がない限り。
決まりきったカタチも、やり方も、地域や国の境もなく、自由ではないでしょうか。
そのため、発想を自由に「戦わずして勝つこと」も選択肢に必ず入れておく。
特にフォロワー、中小企業や小さなお店は。
競争を避けることから発想したほうが、より良い結果が得られると思っています。
その上で、もし競争するとなった場合には。
顧客ロイヤルティ:顧客から選ばれる立場になる
持たざる強み:小資本ゆえの環境変化への対応性・低コストの強みを活かす
ポートフォリオ:リスク分散を顧客・ブランド・社員で進める
試行錯誤:小さな失敗を素早く重ねて成功していく
の4つの方向性と、その方向性に沿ったリスクをさけるための12の戦略が。
実際の成功事例を元にして、この本では解説されています。
ただ、この4つの方向性や12の戦略にしても。
あくまでも、フォロワーから脱した成功事例を分析しているので。
いわゆる「結果論」と言われると、その通り!となってしまいます。
そのため、単に「この戦略なら誰でも成功する!」とは言えないと。
手塚さんも、自らこの本の中で述べているように。
これらの4つが出来るなら、フォロワーに留まっていない!わけでして。
魔法のツエを期待して、模倣しただけではうまくいかないでしょう。
また現実に。
この本で成功事例として取り上げられている、あるネット系の人材紹介会社は。
最近の労働市場の変化に、かなり苦戦しており新規の戦略が必要となっています。
この点に関しても、手塚さんも「外部環境はめまぐるしく変化する」と書いていて。
変化のはげしい環境では、当たり前といえば当たり前ですが。
差別化や絞り込みなど「選択と集中」の戦略には、大きなリスクが伴うと指摘しています。
まさに、今の日本では。
国の財務や社会保障費の問題から、大多数の国民の雇用を支える中小企業に厳しくて。
人手不足や社員の高齢化が進む一方で、人を雇用する負担感がドンドン高くなっています。
また若い人を中心にした働き手の意識も変わり、経済の見通しも不透明感が漂います。
さらに多くの業界で、常に新しく、より安い商品やサービスが提供され続けています。
このような外部環境の変化に生き残り、永続的に企業やお店を続けるために。
フォロワーは戦わずして「競争回避」することが、ベスト戦略ではないでしょうか。
その上で。同業他社と比べることのない、競争を意識しない視点で。
すみ分けや差別化を進め「プチ・ニッチャー」となるのが現実的な戦略だと思いました。
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