2014年9月13日土曜日

商いに大事な2つの「確かな目」とは

商売、ビジネスというもの、商いは。
自分が飽きないでやれること。

そしてお客様から、飽きられることなく。
お客様と商いを通じて、良好な人間関係が続くこと。

この2つが、大事であって。

人や社会や地域などに、迷惑をかけたり。
ウソで強引に売りつけたり、ダマしたり。

そういうことさえしなければ、自分の発想で自由に進めて良い。
このような考え方が、商いを進める上で大切ではないでしょうか。

同時に。

商売やビジネスを始めて、お店や会社を開くとか。
または商売やビジネスを継いで、先代からお店や会社を譲り受けて。

自由な発想の中で、自分の思うような商いをしながら。
自分のお店や会社を何十年、100年と続く老舗にすることは。

自分の発想や意欲だけでは、なかなか難しいと思います。

数年前のことです。

知人のMさんが、独立してお店を始めようとした時に。
当時、というか今でも市場環境がきびしい業界でのビジネスでしたので。

多くの方から「やめた方が良い」とか「もう少し景気が良くなってから」と言われたり。
資金に余裕があるから遊び感覚で始めたとか、影のスポンサーがいるんだろうとか。
勤め先とケンカして飛び出すのか!とか、つまらんウワサを流されたりしたそうです。

そのような中、私はMさんに「やってみればどうですか?」と話していて。
先日、Mさんから「どうして、あの時に賛成してくれたのですか?」と聞かれました。

それは、Mさんには業界でのキャリアも十分にあったとか。
人柄もよくリーダーシップがあったなど、一般的な理由もありましたが。

大きな理由の一つは。

「自己資金だけでやろう、借り入れが生じるようになったら止めよう」

とMさんが考えていたからです。

商売やビジネスを始める時、またはお店や会社を継いだ時。
コレをやりたい!アレをやりたい!こうしたい!など。

何をやりたいか?何をやれるか?と誰でも考えますが。
どうなったら止めるか?と考える方は、そう多くはありません。

商売やビジネス、商いは飽きないでやれることを。
どんなやり方でも、場所でも始めることはできますが。

どんなことになったら止めるか?
これだけは歯を食いしばってもやりたくない!

このような考え方から、常に見ていないと。
手遅れになり、致命傷を負うことが多いのです。

有名な例が、超音速旅客機「コンコルド」の話です。
コンコルドは、イギリスとフランスの政府の肝いりで。
共同で開発が進んでいた「夢のジェット機」でした。
しかし、すでに開発段階から赤字になる事が判明。

ところが、それまでの投資金額が大きかったため。
開発を止めずに、完成したのはイイものの。

赤字が大幅に拡大、より巨額の損失を生む結果となったのです。

そしてもう一つ、私がMさんの考えに賛成した理由は。

Mさんが、同業ライバルと競争しよう、マネをしようとか。
ドンドンとお店の規模を大きくする、売り上げを増やすなど。

そういう考え方とは一線を画して。
自分の求めたいお店づくりを目指そうとしていたことです。

もちろん、独りよがりに。
こんな店がイイ!と考えたわけではありません。

お店づくりの根拠、裏づけとなっていたのは。
Mさんが培ってきた、長年の業界での経験による「確かな目」です。

おもしろいことに、開店から数ヶ月の間は。
毎月のように、依頼した税務事務所さんから。

「このままだと、来月あたり運営資金がつまります!」

と言われ続けたそうですが、Mさんは。

「大丈夫、今月末までは売り上げがココくらいになるから」

と答えて、実際に資金がつまることはなかったそうです。

Mさんのお店は、開店から数年が経ちましたが。
同じ地域内の同業他社が苦戦する中で。

順調にお客様を増やし、多くのリピーターを確保しております。

思うに。このような商売やビジネスを見る「確かな目」は。
やはり本や講習では、決して身につかないでしょう。

行動を起こし、自分でやってみて始めて身につくものだと思います。

しかも、大小のさまざまな失敗や問題を乗り越えて。
始めて身につくもの、それが「確かな目」なのではないでしょうか。

残念ながら、ビジネスの神様、商売の天才と言われるような人にも。
お店や会社を始めると、想像もできないような失敗や問題が必ず起きます。

大事な点なので繰り返しますが、か・な・ら・ず!起こるのです。

もっと大きな視点で見れば人生において、人は何かのことで。

行動を起こせば、必ず大小の失敗や問題が起こる。
自分でやってみると、必ず大小の失敗や問題に遭遇する。

それは、じっと動かずにお風呂に入っていて。
動き始めると大小の波が必ずたつのと同じことです。

その人の能力や環境、年令や経験に関係なく。
自然なこと、起こるのが当たり前のことと考えられるのです。

その上で。

もし商売やビジネスで、何かの失敗や問題が起きた時に。

失敗や問題を解決しよう!という意欲や行動と同じか。
それ以上に大事なのが、止める!という選択ができること。

または。コレをしよう!アレに手を出そう!とするよりも。
コレだけはしない!アレには手を出さない!と決めていること。

これこそ、何十年と続く老舗と言われるお店とか。
2代目、3代目と代々と続く会社に共通する大きな特徴だと思います。

そう。ビジネスや商売を続けるために必要な「確かな目」とは。
商いを始める、手を広げるという将来を見据える「確かな目」と共に。
商いを止める、手を出さないという現実を見据える「確かな目」も。
同じか、それ以上に大切な視点だと考えた方が良いと思います。

しかし一方で、お店や会社を起こしたばかりの創業者や起業家とか。
お店や会社を継いだ2代目や3代目など、経験が浅い経営者にとって。

止める!手を引く!手を出さない!という視点は。
先ほどのコンコルドの例のように、なかなか持ちにくい視点です。

だからこそ、止める!手を出さない!を含めた客観的に広い視点を。

キチンと示してくれるような人物が、そばにいること。
自分のお店や会社の中、または外に必ずいること。

これが老舗や100年企業となるための条件の一つだとも思います。

そして、客観的な広い視点に基づく意見やアドバイスは。

得てして、耳に痛い、腹の立つ、自分の意見と反対のことが多いもの。

それでも、ちゃんと自分に伝えてくれる信頼のおける人物を見抜く目。
お世辞やご機嫌取り、ただ単のイエスマンに過ぎない人物を見抜く目。

これもまた、商売やビジネスに必要な「確かな目」の一つではないでしょうか。

このように。

自分自身が将来や現実を見据え、客観的に判断できる「確かな目」を持つ。
または「確かな目」を持つ信頼の置ける人物を見抜く「確かな目」を持つ。

この2つの「確かな目」があれば、大小さまざまな失敗も問題も乗り換えて。
やがてお店や会社の進化の糧となって、老舗や100年企業を築く幹となる。

これは私自身、かつて会社存亡の危機に直面した時に。
痛みと共に得た発想、常に磨いておきたいと願っていることでもあります。

今回は、お店を始めて数年経ったMさんとの会話から。
Mさんのお店も、きっと老舗といわれるようになると。

改めて感じた、その中で自分を振り返ってみた話でした。

ではでは。また。

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