2015年7月17日金曜日

商いの判断は、すべて一目ぼれ!?

え~本日も、備忘録。
越後屋の商い帳シリーズです。

うん?備忘録?越後屋の商い帳?
何だ?この話は?と思われる方は。

このシリーズの第1回目「むかし、むかし、あるご城下での話」編と。
前回の「チャンスは、つかめない・計れない・わからない!?」編をお読み下さい。

備忘録の解説や全体のあらすじが書いてあります。

ではでは、そういうことで。
お話の続きのはじまり~、はじまり~です!・・・・・・・・チョン!チョチョチョン!

○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○

越後屋は、ゆっくりと。

「まず知りたいのは、チャンスや良いタイミングというものは
なぜ自分でつかめない・計れない・わからないのか?その理由や原因だね?」

と言い、武蔵屋の顔をじっと覗き込みながら言葉を続けます。

「もう一つは、チャンスだ!良いタイミングだ!女神にオレは出会った!と思っても
実は落とし穴、ピンチ、悪いタイミング、というように魔女みたいなヤツがいる理由や原因」

そう!それです!と言わんばかりに、武蔵屋は大きくうなずきます。

「その上で、女神に化けた魔女を見抜く法則を知りたい、ということだね?」

ここまで武蔵屋の若だんなの質問を確認すると。

「では、最初に・・・
なぜチャンスやタイミングは、つかめない・計れない・わからないのか?から・・・」

相変わらず、片方の手に杯(さかずき)を。
もう片方の手は、そっと女将の手にやさしく添えながら。

「武蔵屋さん、商いってもんは、チャンスの後にピンチありとか、
ピンチの後にチャンスありとか、こう言われているのは耳にしたことがあるでしょ?」

こう言うと、越後屋は武蔵屋をひとにらみ。
にらむ、というよりじっと彼の目を見つめた、という感じでしょうか。

・・・・・この人は、酔っているのか?それともシラフ?わかんないな・・・・・・

武蔵屋は、するどく自分を見つめる相手の心を探るように。

「はい・・・たしかに、たまに・・・いや、よく耳にする話ですね・・・」

言葉を選びながら答えました。

「言いかえればチャンスとピンチは表裏一体、コインのオモテとウラ
クルクルと変わりやすい、パッと!ひっくり返るという話であるんだけど」

越後屋は、こう話すと、たたみ掛けるように語りかけます。

「昔もそうだけど、単純に情報量が増えて、何百倍にもなった今なら、
まさに混合玉石、チャンスを見分けがつきづらくなってきていると言えるな・・・

チャンスや良いタイミングをつかまえて一気に簡単に儲けたという話とか
反対に、ちょっとしたタイミングや出来事で大きなトラブルに巻き込まれた話とか

これをおもしろおかしく、注目を集めたい、目立ちたいとか、ウケを狙ったり
ロクに自分の目や足で調べもしないで、これこそ正論だ!真相だ!と言い放ったり

こんなヤカラが、ネット屋とか、かわら版屋などで幅を利かせているわけだね・・・・
これがつかめない、計れない、先が見えない、という表面的な原因なんだけど・・・」

ここまで一気に話すと、杯をグッと飲み干して。
フゥ~と一息、空いた杯をすっと女将に差し出して、酒を注いでもらいながら。

「そもそも、人間なら誰でも持つ2つの心、考え方があって
一つは世の中のどこかにチャンス、おいしい話があるにちがいない、こういった願望や欲望と

もう一つはチャンスか、良いタイミングか、正しいか、間違いかなど、判断するその基準が
実は必ずと言って良いほど、人は偏っている、これが根本的な原因と言えるだろうね・・・」

と続けるのですが、何やら眉間にシワを寄せながら。

「でも情報量が増えて、細部までわかることで、チャンスやタイミングが分析しやすくなって
かえって見分けや区分けがしやすくなる、客観的に見られる、私はそう感じるんですけど・・・」

武蔵屋の若だんなは、こう言うと食い入るように越後屋を見つめました。

「そうだね、たしかに選択肢や情報量が多ければ、分析はしやすいかもしれない
細かいところまで見えるから、細かい違いもつかめるかもしれないね・・・」

今度は一転、目を細めてやさしい眼差しでとなりの女将を見つめながら応える越後屋。
自分の話を真剣に聞いてない、目の前にまるで自分はいないかのようなその態度に。

「でしょ!しっかり分析して、よく吟味すれば
チャンスや良いタイミングを見わけられるんじゃないですか?」

少しムッ!とした武蔵屋は、やや大きな声でまくしたてます。

「ところが武蔵屋さん、その選択肢や情報に
最初から色や膜(まく)のようなものがついているとしたら?」

そんな武蔵屋の様子もかまわずに、越後屋が女将に微笑みながら。

「一体、どうなると思う?そう女将、お前さんはどう思うかい?
最初から色つきメガネで、世間様やまわりを見ていたとしたらさ?」

と語りかけると。

「いやですよ、越後屋のだんなは・・・武蔵屋の若だんなが真剣に話しているのに
そんな目で私を見つめて・・・色メガネは色メガネでも、ちがう色がお顔に出ていますよ・・・」

と微笑み返して女将が応えるもんですから、見てられんわ!とイライラしながら武蔵屋は。

「そうですよ!越後屋さん!女将とイチャつくのは後にして、今は私と真剣に話してくださいな!
私ゃ~どうしてもチャンスやタイミングをつかんで、庄内屋の若だんなを見返したいですよ!!」

ついホンネがポロリ、と出てしまいました。

おやおや、ヤッパリね!と思いながら、おだやかな表情を浮かべる越後屋が。
そのまま武蔵屋の若だんなの方に、やさしい眼差しを振り向けると。

「いやいや、悪かった、悪かった、武蔵屋さん、真剣に聞いてないわけじゃないんだよ
いやね、最初から色メガネで見ている、というのは男女の仲も同じで・・・そう、一目ぼれね・・・」

と話すもんですから、武蔵屋はますます興奮して。

「だから!商いの話をしているんで、男女の恋仲の話をしているんじゃんないんですよ!!
第一、私ゃ女に一目ぼれするような軽い男じゃありません!一目ぼれしたことないですよ!!」

とまぁ、お酒で赤くなった顔をさらに赤くして。
かみつくように話すと、越後屋はさらに優しい顔になって。

「いいかい、若だんな、女に一目ぼれしたことがない、ということが違っているんだよ
人は男も女も、恋仲になるのはすべて一目ぼれ、そして商いの判断も、すべて一目ぼれさ・・・」

またまた女将を見つめながら応えたもんですから、さぁ大変。

「商いも一目ぼれ!?そんなわけないでしょ!そんないい加減なことで商いはできないでしょ!
一目ぼれで商いしたら、失敗が増えて、いつか店つぶして、身代なくすのがオチですよ!!」

武蔵屋はヒートアップ、興奮もピークになります。

さてさて。百歩譲って、男女の恋仲が一目ぼれだとしても。
商いまで一目ぼれ、という越後屋の言わんとしていることとは。

この話は、またまた次回に。
いよいよ最終回、チャンスの女神が魔女に変身するナゾも解けます。

お後がよろしいようで・・・。

2015年7月7日火曜日

チャンスは、つかめない・計れない・わからない!?

え~ここまでお話が、だいぶ長くなりまして。
途中からお読みの方もいるんじゃないか、と。

そう思いますんで、少しここまでのあらすじをご紹介します。

とある城下町で、お城の出入り商人3人が酒席を開いておりました。

ご城下でも、中堅の規模のお店を開いております越後屋さん。
あとは大店の庄内屋の若だんな、そして庄内屋と同い年の武蔵屋の若だんなです。

庄内屋の若だんな、どちらかっていうと普段から遊び人というか。
あまり商売に身が入っておりませんが、なんと1500両もの大商いをまとめます。

いつもは厳しい庄内屋の主、父親からもほめられて。
うれしさのあまりハシャギすぎて、飲みすぎて、先に帰ってしまいます。

その自慢話や様子を見ていた、武蔵屋の若だんなは。
いつもマジメにコツコツやっているのに、なんで庄内屋が!と思いつつ。

歯がゆさに、庄内屋さんは運がいい。
それに比べ、自分は・・・と落ち込んでしまいます。

そんな武蔵屋の様子を見て、少し年配の越後屋は。
商売をする上で、大事な柱、人、モノ、お金、情報のうちで。

情報を一番に大事にしていて、その中でも商いの流れ、タイミングを。
とりわけ大切にしている、と諭すように武蔵屋の若だんなに語るのでした。

すると、タイミング、チャンスの流れ、それをつかむこと。
よく耳にする、チャンスの女神の前髪をつかむことが大事なのか?と。

こう尋ねる武蔵屋に、越後屋はチャンスの女神は神話の世界のつくり話。
前髪どころが坊主頭、だから誰にもつかめない、後付けのお話と語って。

チャンスの女神より、大事なのはジャッジの女神。
しかも女神に化けた、魔女を見抜くことが大切だと話すのです。

ますます、?マークがいっぱいの武蔵屋の若だんな。
そんな様子に理解を示しつつ、越後屋の話は続くのでした・・・・。

「いいかい、武蔵屋さん、わたしは、商いでタイミングを大切にしていると話したね?」

怪訝そうな武蔵屋の顔を覗き込みながら、越後屋は話を続けます。

「そのタイミングなんだけど、いくらタイミングをとろうとしても、自分じゃとれない
良いタイミングを計ろうとしても、自分じゃ計れない、わかんないとわたしは思っているんだ・・・」

そういうと、いつの間にか。

越後屋と武蔵屋の話をジャマしないように、そっと座敷に入ってきた女将が。
静かに微笑みながら、新しくもってきたお酒を越後屋に注ぎます。

その微笑に、微笑をかえしながらお酒に少し口をつけると。

「そういう意味では、チャンスとは、良いタイミングだった、と言えるけど
自分じゃチャンスは、とれない、計れない、わかんないわけで・・・・」

越後屋は、話を続けながら。

「だからチャンスの女神はいない、いるとしたら前髪もなく、坊主頭で
つかみようがない、いるとしたらチャンスの女神でなく、ジャッジの女神だと
あれがチャンス、良いタイミングだったか?とジャッジ、判断する女神しかいないわけで」

越後屋は、ここまで話すと。
またまた武蔵屋から見えないように、そっと女将の白い細い手を握りながら。

「そのジャッジの女神に、実は魔女がいる、と言ったわけさ・・・
ま、女は魔物、という話と同じかもしれないけどなぁ~・・・」

と今度は、武蔵屋にもハッキリわかるくらいに。
ニコリと女将を見つめると、女将もおやおや!というように越後屋を見つめ返します。

だいぶ男女の仲や女性に疎い(うとい)?武蔵屋の若だんなですが。
さすがに越後屋と女将の関係に、何ならぬ雰囲気を感じながら。

「ほっ?あっ!?え!・・・女は魔物、女神だから魔女、ってわけですか・・・」

かえって、そんな二人に自分が恥ずかしくなったかのように。
言葉につまりながら、武蔵屋は素っとん狂な声を上げて返事をします。

「そう、女は魔物、だからおもしろいんだが・・・おっと!話が横道にそれたね・・・」

武蔵屋の動揺した様子にも、気にせず手をとったまま女将を見つめていた越後屋ですが。
武蔵屋の方に目を向けて、彼の表情を確かめるように、静かに語り始めました。

「要するに、タイミング良かった、チャンスをつかめた、または良い結果だと思ったら
実はタイミングが悪い、つまりチャンスのようで落とし穴、悪い結果があるということでね」

そういうと、静かに杯(さかずき)を空けると。
そっと差し出す女将からの徳利を受けながら。

「だから良かった、チャンスをつかめた、女神に出会った!と思ったら
悪かった、落とし穴だった、本当は魔女だった!となるわけで」

こう続けた越後屋は、さらに声を低めて。

「その女神と魔女を見分ける法則、魔女を見抜く法則がある・・・・
と話したわけだけど、まだ興味があるかい?武蔵屋さんは?」

と語りかけるのでした。

すると。

「ええ!もちろんです!とういか、チャンスは、なぜ自分ではつかめないのか?
計れないのか?わからないのか?それに、なぜ女神のように見える魔女がいるのか?
そういうことも、よくわかっていないんで、そのことから教えててもらえませんか?」

武蔵屋の若だんなは、グッと身を乗り出すようにこたえるのでした。

さてさて。

なぜチャンス、つまり良いタイミングは。
自分では、つかめない・計れない・わからないのか?

また結果が出てから、良いタイミングやチャンス、良い結果だったと判断する時に。
なぜ、女神に化けた魔女がいるのか?女神の中に魔女が隠れているのか?

そして、その魔女を見抜く法則とは?いったい?・・・・・・

この話の続きは、次回へ続きます。
お後がよろしいようで・・・。

2015年7月3日金曜日

女神に化けた魔女!

さてさて。お話の続きでございます。

越後屋がつぶやくナゾの一言。

「チャンスの女神が坊主頭」

に対して、え?坊主頭?なんでだ???
そんな思いをぶつけるように。

「でも運のイイヤツ、悪いヤツ、早く成功するヤツ、なかなか成功できないヤツ
っているじゃないですか!まるで庄内屋の若だんなと私のように!!」

と叫ぶ武蔵屋の若だんな。
どうやら、彼には越後屋の話がよくわからないようで。

そのまま、ショボン!と視線をタタミに落としてしまいました。

ま、理解できないのも仕方ないか・・・と内心は思いながら。

「いいかい、武蔵屋さん、わたしゃ~こう思っているんだ
運は単なる結果や成果が出てからの理由付け、成功するもしないも結果論・・・って」

なぜか、昔を思い出すかのように遠くを見つめて。
かみしめるように、越後屋は話を続けます。

「成功だってそう、誰でも100%成功すると最初からわかっていることはない
結果として、成功した!失敗した!となって、初めてわかるもんなんだ・・・」

今度は、目の前の杯(さかずき)の酒に。
小さく写る、自分の顔を見つめながら語る越後屋。

「だからチャンスの女神も、後からの理由付け 結果論なんだよ
もし、いたとしても、誰にも気づかれずにそっと通り過ぎて、すっ~と静かに消える」

そういうと、酒をグッ!と飲み干し、自分の杯に酒を注ぎながら。

「そう、後からアレが女神だったかも?と思ってオレは女神を見たぞ!
女神の前髪をつかんだぞ!って、ある意味のつくり話、神話にしただけと思うよ」

越後屋は、そう言うと。
武蔵屋に、最後の徳利を差し向けながら。

「まぁ武蔵屋さん、もう少しオレの酒に付き合いながら聞いて下さいな
他の誰にも言っていないんだけどね、後からつくられたチャンスの女神にもね・・・」

一段と小さな、低い声でゆっくりと語りかけます。

「・・・・実は、本当の女神と相手を呪い殺すような魔女がいるとしたら、武蔵屋さん
アンタ、いったいどう思う?恐くはないかい?私は、何より一番に恐ろしいと思うけどね・・・」

・・・すると。

「え?女神じゃなく、魔女?ですか??」

とようやく顔を上げ、徳利が差し出されているのに気づいた武蔵屋の杯に。
ホンの少しだけ、残った酒を注ぎながら大きくうなづいた越後屋は。

「そう、本当に女神と魔女がいるんだ・・・正直に話すと、私自身も何回か出会ってきた
それでね、苦労しながらね、女神か?魔女か?見抜く法則を見つけたんだけど・・・
武蔵屋さん、もしそんな法則があったら、興味があるかい?知りたいと思うかい?どう?」

と続けました。

「そりゃ~知りたいですよ!ぜひ!女神と魔女がわかればイイですよね!
・・・・あれ?待てよ・・・越後屋さんは、さっき女神なんて後付だ!いない!って
こう話していましたよね?じゃあ女神と魔女を見分けても、意味なんてないんじゃ??」

食いつくように目を見開いたと思ったら、またマユをしかめる武蔵屋に。

「そのとおり、みんなが話すようなチャンスの女神はいない、坊主頭で先にはつかめない
さっきも言ったとおり神話の世界、後から結果論として現れる女神さ・・・でもね・・・」

と武蔵屋の若だんなをじっと見つめる越後屋は。

「チャンスの女神に化けて、美しいけど、本当は恐ろしい魔女はいるんだ」

と諭すように語りかけました。

「えええ???チャンスの女神に化けた魔女??って???
よくわかんないですよ!なんなんです?その魔女は???」

間髪をいれず、言い返してくる武蔵屋の肩をポンポンと叩きながら。

「まぁ落ち着いてよ、武蔵屋さん、そう急かさないで下さいな」

と言いながら、さっ、お飲みよ!と酒を進める越後屋は。

「あれがチャンスだったのか?それともあれがチャンスじゃなかったのか?と
結果や成果が出てから、結果論として理論つげする、判断する、ジャッジする女神
これがわたしの考える、チャンスの女神、ってヤツの正体なんだけどね・・・」

自分も、杯をグッと空けながら。

「始末に悪いのは、その中に女神に化けた恐ろしい魔女がいることなんだ・・・・」

越後屋が、こう続けると。

「・・・・でも、後からジャッジって・・・女神とか魔女とかの意味がない気がしますが・・・」

合点がいかない武蔵屋は、怪訝そうな顔をしています。

「いや、そうでもない、というよりも、武蔵屋さんをはじめ、みんなの思うチャンスの女神
前髪があって、成功のために先につかむ女神よりも、ジャッジの女神の方がね・・・・・・・
・・・そうだねぇ~・・・・何倍、何十倍も大切、それくらい重要な女神だと思うけどね・・・・」

またまた、昔を思い出すように遠くに視線を投げかけながら。

「・・・・・そう考えると、庄内屋さんの1500両の大商いも、女神でなくて・・・・・・
もしかしたら魔女、しかも飛び切り性悪な魔女が関係していそうなんだよね・・・」

とつぶやくのでした・・・・・・・・。

さてさて。一体、チャンスの女神より大事なジャッジの女神とは?
その女神に化けた魔女とは?庄内屋の大商いに隠れている魔女の正体は?

この話は、次回に続きます。
お後がよろしいようで・・・。

2015年6月23日火曜日

チャンスの女神は坊主頭?

さてさて。越後屋の話、その続きをさせていただます。

とある城下町、そこの大店の御用商人の一つ庄内屋。
そこの若だんなが、はじめて大商(おおあきな)いをまとめました。

そして鼻高々に、連れの越後屋や料理屋の女将に自慢したのですが・・・。
1500両もの大商い、そりゃ他人に話したくもなるってもんです。

そこで、越後屋は。
若だんなを持ち上げようと、話を続けます。

「いいかい女将、庄内屋の若だんなのところのお城との商いは・・・
そうだね、1年で500両くらいだから3年分にはなるだろうねぇ~!
それくらいの大商いを若だんなは、一人でまとめ上げたってわけさ!」

そんな越後屋の言葉を耳にして。
案の定、テンションが上がった庄内屋の若だんな。

グイグイと機嫌よく、女将から注がれ杯を重ねると。
カワヤへ、っと言ってフラ~っと立ち上がったと思ったら。

そのまんま!ガラガラガッシャーン!と転んでしまいました・・・。

そんな様子を心配になった越後屋は。

「今日は、お帰りな庄内屋さん、また後でお祝いだ!」

ポンポンと肩をやさしく叩きながら、庄内屋の若だんなを諭すと。
さすがに飲みすぎた!と思ったのか、庄内屋もうなずきながら。

「ええ、そうさせてもらいます・・・」

というので、越後屋は女将に言ってカゴを呼ぶと。
芸者さんをつけて、庄内屋の若だんなを店の外へ見送らせます。

越後屋と武蔵屋の若だんなと女将の3人になって。
さっきまでの大騒ぎが、ウソのように静かになった部屋で。

「いいな、庄内屋の若だんなは・・・オレなんか・・・
せいぜいガンバっても1本、100両の商いが精一杯・・・」

今度はポツリ、武蔵屋の若だんなが小声でつぶやきました。

「ウン!?どうしたい、武蔵屋さん、そんなことはないさ
いいかい、商いってもんは一発勝負じゃないんだ、わかるかい?・・・・」

いつになく、やさしい声で話しかける越後屋に対して。

「はい、そりゃ~わかります・・・でも・・・わたしの15倍ですよ・・・
大したもんだ、というか・・・正直、うらやましいなぁ~って・・・・・・・」

武蔵屋の若だんなは肩を落として、うつむき加減に。
途切れ気味の声で、自分に言い聞かせるように小声で話します。

「なるほどね、100両の15倍は1500両だなねぇ~
それを庄内屋の若だんなは一発で決めた、確かに15倍だねぇ~」

グチの始めた庄内屋を見て、こりゃ~弱ったとばかり苦笑い。
となりの女将の方に顔を向け、にこやかに見つめながら応える越後屋に。

女将もまた「おやおや、越後屋さん、また大変ね!」という感じで。
やさしい微笑を浮かべて、何やらイイ雰囲気で越後屋を見つめ返します。

この二人、武蔵屋が視線を落としていることをイイことに。
そのまま、お互いの手をそっと握りあってしまいました。

ところが!不意に!顔を上げた武蔵屋の若だんなが。

「だってそうでしょ!越後屋さん!
15倍ですよ!15倍!それもたった1回の商いですよ!」

と叫ぶもんですから、慌ててパッ!と手を離す越後屋と女将。

そんな二人の様子には、気づくはずもない武蔵屋の若だんな。

「・・・その点、私なんか100両と言っても・・・月に20両・・・
しかも1回あたりの商いが5両で月4回、それで5ヶ月で100両・・・」

今度は、一転してまたうつむくいて。
ブツブツと独り言のようにつぶやいたと思ったら。

またまた急に顔を上げて、天井を仰ぎながら。

「1回あたりだったら・・・300倍!300倍ですよ!
とんでもない差だぁ~!あああ!庄内屋なんて!」

ここで、武蔵屋は杯をグィ!と干すと。

「アイツなんか、いつも飲んでばかりで芸者遊びして!
オレはコツコツ、コツコツ・・・まじめに商いしているのに!」

とまぁ~一人で叫び始めまして。
次の瞬間、またガクッ!と肩を落としてうつむいてしまいました。

そんな武蔵屋の様子を見て、越後屋と女将はまた見つめ合って苦笑い。
これまでにない、低い落ち着いた声で、ゆっくりと越後屋が語りかけます。

「いいかい武蔵屋さん、わたしゃ~商いにはいろんな要素がある中で
簡単にいえば、商いは、人、モノ、金、情報、この4つで出来てると思ってるんだ」

ここまでいうと、一息ついて。
女将が新しく注いでくれた杯をクッと空ける越後屋は。

さらに低い声の落ち着いた口調で。
目の前の武蔵屋の若だんなでなく。

まるで、自分に言い聞かせるように。

「その中でもね、私自身は情報が一番に大事で
その情報の中でも、とりわけ商いの流れ、タイミングを大切にしているんだ」

と続けます。

「よく言う、チャンスの女神は前髪しかない
だから、タイミングよく、速めに商いのことは進めろ、って話ですか?」

うつむいて、その表情はわかりませんが。
そんなことは知っているよ、と言わんばかりの口調の武蔵屋に対して。

越後屋は、意に介さずに。

「いやいや、そうじゃないんだ
チャンスの女神がいるとしたら、前髪も後ろ髪もないんだよ」

と言いながら、女将に目を向けると。

「そうだね、尼さんみたいに坊主頭のような気がするな
それも色っぽい尼さん、女神というくらいだからイイ女なんだろうね~」

また越後屋と女将は見つめ合い、そして手を握り合いながら。
オレのイイ女はココにいる、とばかり女将を見つめながら応えます。

「そんなもんですかねぇ~・・・私はまだ若いから・・・
尼さんの色気って、わかんないですよ!そんで尼さんをそんな目で見たことないし!」

何か、からかわれていると感じたのでしょうか?
武蔵屋の若だんなは、はき捨てるように言うと。

まさにヤケ酒、目の前の徳利を手にすると。
一気にゴクゴク!と、ラッパ飲みしてしまいました。

おやおや、弱ったもんだ・・・とまたまた越後屋は苦笑いしながら。
黙って女将にカラの徳利を振って、ちょっと席を外すように促すと。

女将は微笑んでうなずくと「お酒のお代わり、お持ちしますね」と言いながら。
スッと立ち上がり、カラの徳利を持って静かに座敷を出て行きます・・・。

女将がふすまを閉める音を合図に、グッ!と武蔵屋に身を乗り出して。
彼の肩に手をおくと、おもむろに越後屋は。

「いいかい武蔵屋さん、私が言いたいのはね
そもそも商いに、チャンスの女神はいないということなんだよ」

と語りはじめました。

「仮にいたとししても、前髪も後ろ髪もない、本当に坊主頭なんだ
だからつかみようがない、つかもうと思ってもムリなんだよ」

と諭すように、武蔵屋に話しかけますが。

さてさて。チャンスの女神が坊主頭って???

この話は、次回に続きます。
お後がよろしいようで・・・。

2015年6月19日金曜日

むかし、むかし、あるご城下でのお話

え~とある城下町でのお話です。

お城の御用商人の大きな寄合いがありまして。
主だった町の商人たちが、ズラッ~と一堂に会しました。

その帰り道なんですが、一杯やろう!っていうんで。
3人のだんな衆が、料理屋さんに軽い足取りで入ってまいります。

少し年の離れた越後屋のだんなと。
同い年の庄内屋、武蔵屋それぞれの若だんなです。

そこで芸者さんをいれて、ドンチャン、ドンチャンと。
騒いでおりましたところ、だいぶお酒もすすみまして。

庄内屋の若だんなが、ふいに。

「聞いてくださいよ、越後屋のだんな!
わたしゃねぇ~スゴイ御用をお城から頂くことができたんですよ~!」

やや?トロ~ンとした目で越後屋の前へ来ると話しだします。

「ほう、そりゃ、そりゃ・・・・で。いったい、どんな御用なんだい?庄内屋さん」

越後屋は、年も離れているせいか。
芸者さんは、み~んな若い2人に追いやって。

ドンチャン、ワイワイと楽しそうに騒ぐよう芸者さんたちを盛り上げながら。
芸者あがりの料理屋の女将にお酌をしてもらい、上機嫌でおりましたが。

おや?何を言い出すんだろう?と少し困惑しながら聞きました。

「いやね、大商いです!お・お・あ・き・な・い!なんですよ!」

「大商いねぇ~・・・ほう!あんさんがずっと追いかけていたアレかい?」

「そう!そうなんですよ!越後屋のだんな!!アレ!例のアレですよ!
いゃ~嬉しくて嬉しくて!オヤジもね、大したもんだ!とホメてくれてんですよ~!」

「そいつは良かったね、庄内屋さん!
庄内屋のオヤジさんは、なかなかホメるようなお人じゃないからねぇ~!」

「ホント、そうなんですよ!めったにホメないウチのオヤジもホメてくれた!
ところで、一体いくらくらいの大商いだと思う?ねぇ~女将さん!」

庄内屋の若だんな、越後屋に寄り添っていた料理屋の女将に切り出します。

「さぁ~私には、思いもつきませんねぇ~
さぞかし大金、すごい大商いなんでしょうねぇ~」

酒席でのこの手の話に、手馴れた女将は。
まるで少女のように、ニコニコしながら聞き返すと。

「15本、じゅうご!だよ!女将さん、15!」

庄内屋の若だんなは、テンションを上げながら。
両手で1回、片手で1回、女将の前へ突き出しながら叫びます。

ココで、あまり適当なことを言って。
気分を悪くしては困るといった表情を少し浮かべた女将に。

すかさず、越後屋が助け舟をだして。

「女将、オレたちの商いは、1本といったら100両さ
だから1500両ということになるなぁ~」

と女将の耳元でささやきます。

すると、パァっとにこやかに女将が。

「まぁ!それは良うございましたね!おめでとうございます!」

やや大きな声で言いながら、庄内屋にお酌をします。

「そうでしょう女将さん!2年もガンバった甲斐がありましたよ!」

いただいたお酒をグッ!と飲み干すと、庄内屋の若だんなは。
大きな声で顔中クシャクシャにしながら、ニコニコと話すのでした。

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・・・今回から。

新シリーズ「越後屋の商い帳」をお送りします。

越後屋がいろいろと語る、商いの考え方や発想など。
実は、私の周りで実際にあった2代目経営者の話を元に。

これは忘れてはいけないな、と。
自分への戒めや教訓をまとめた寓話、作り話です。

言い換えれば、私の備忘録。
ある面では、自己満足のかたまりのようなものです。

そのためササササッ!と軽く読み流してもらうために。
架空の商人、越後屋を主人公にした物語としました。

もちろん、登場人物には実在のモデルはいますが。
現実にある同じ屋号や特定の会社、人物とは関係がありません。

その点を差し引いて、お読みいただくと幸いです。

ではでは。この話は、次回に続きます。
お後がよろしいようで。

2015年6月10日水曜日

忍耐力、自分は弱いという覚悟

経営者にとって、大事な考え方やスタンス。
経営や仕事で、脱落して行く人の特徴。

これらに関して、ある経営者がコメントしています。

藤田晋さん、という方なのですが。
名前を聞いて、パッ!と顔を思い浮かべた方も少なくないでしょう。

そう。あのアメーバブログ、アメブロで有名なサイバーエージェント。
IT業界のトップランナーの一人、藤田晋社長のことです。

彼が、競争社会とも言える企業社会で。

「同世代の数多くいたライバルをボクが抜いたのではない。
 彼らが、勝手に落ちていったのだ。」

と話しています。

その上で、仕事のレースで脱落していく人を。

1.忍耐力のない人
2.目標設定が低い人
3.固定観念が強くて変化できない人

という順番で上げています。

2の目標設定が低い人は、高い人にはかないません。

高い目標を掲げ、必死であがいている人とは。
所詮、志やモチベーションが違うのです。

3の変化できない人は、遅かれ早かれ行き詰ります。

仮に高い目標や志やモチベーションがあっても。
固定観念に縛られていては、いつかは手詰まりなるのです。

しかし、一番に早く脱落するのは。
忍耐力のない人、と藤田社長は述べています。

考えてみれば、私たちのような2代目経営者も。

企業社会に生き、競争社会に生きているのですから。
当然といえば当然ですが、見事に当てはまると思います。

たとえばライバルが、新規事業や新商品で成功したとか。
知人が新市場で売上げや利益を伸ばしていると、ついつい。

オレも何か!と考える、これからはコレだ!とウキウキと走り出す。
実は浮き足立って、地に足が着かないでいることに気づかずに。

地味な現状に忍耐できず、ガマンできずに進んだ結果。

やがて自分のペースは乱れ、空回りしてパッタリ。
広げすぎた扇のように、パッターンと倒れる。

恐らく、先代からの教えや地味な事業を頑なに守っていく人より。
このような経営姿勢の2代目の方が、会社をつぶしている気がします。

その上で大事なのは、耐えながら、何もしないのではなく。
守る、流れを見極める、潮目の変わるの観察する、不安と戦う。

自分のタイミングでなく、しのいで、しのいで、しのいだ先に。
やってきたチャンスやきっかけをつかみ、勝負していく。

藤田社長は、このようにも話しています。

おもしろいのは、これらの話を藤田社長が。
師事している、20年間無敗の伝説の雀鬼(じゃんき)。

実は以前。足かけ6年、131号まで発行していた2代目横丁のメルマガ。
2代目横丁「かわら版」では、何度か登場していた桜井章一さんという方。

この方が述べる話に感化されて述べている点です。

桜井章一さんをご存じない人もおられるかもしれませんが。
この方は、いわゆるプロの「麻雀打ち(プロ雀士)」でした。

しかも、いろいろな権力者(ウラ社会も含む)からの依頼を受けて。
大金や利権を賭けて麻雀する「代打ち(代理で打つ)」をしていた人。

たとえ莫大なお金をつまれようとも、刃物を首に突き付けられても。
自分の納得のいかない麻雀は打たない、自分の姿勢を貫き通した人。

そのような世界で、20年間無敗を続けた麻雀の鬼「雀鬼」と呼ばれた男。

それが桜井章一さんなのです。

この方の元で、藤田社長は麻雀を通じて。
さまざまなことを学んだそうです。

たとえば、自分が弱いと自覚している。
弱いことを認める、これが真の強さというもの。

その上で。

ゲームの流れやライバルの動向を考えて。
そして弱いという前提で、行動する、決断する。

弱いから、あきらめるのでなく。
弱いと、覚悟を決めて事柄に臨む。

これは、私たち2代目に必要な心構えの一つ。
事業の継続のために不可欠なスタンスだと思います。

もちろん、私たち2代目経営者から見れば。

藤田社長は、日本でも指折りの起業家であり、創業経営者。
その藤田社長の師、伝説の雀鬼と言われる桜井章一さんは勝負師。

忍耐力にしても、自分は弱いという覚悟にしても。
比べようもないほど、強く、深く、大きいものです。

それでも、桜井さんが藤田社長に語った一言。

「負けの99%は自滅である」

という言葉にあるように、どうしても私を含めて2代目という立場の人は。
忍耐力と自分は弱いという覚悟に乏しく、自滅する人が多いように思えます。

あなたの周りにも、一人や二人いませんか?

周りの人に、大きく見せようとか、強く見せようか。
えらく見せようとか、力や金があるところを見せようとか。

こんな立ち居振る舞いをする2代目経営者、特に男性の人!です。

また一方で、反対に卑下するような態度の2代目経営者もいます。

しかし、内心はバカにされたくないだけで。
強く見せたいという本質は、変わらないのではないでしょうか。

最後に、一つだけ本のご紹介を。

忍耐力、弱いという覚悟、負けの99%は自滅。

これら一連の話の他に、さまざまな桜井さんの言葉を元に藤田社長が。
麻雀の世界、勝負事の世界の話を経営やビジネスの視点で語った一冊。

「運を支配する」(桜井章一、藤田晋・著)が新書で出ています。

もしよろしければ、ご一読下さい。

ではでは。また。






2015年5月27日水曜日

置かれた場所で咲くことも、逃げることも

置かれた場所で咲きなさい、という言葉があります。

たしか、どなたかの本のタイトルだと思いますが。
本、テレビ、SNS、ブログ、Twitterなどなど。

いろいろな媒体で、言葉を発する時、意見を述べる時。
言葉そのものの意味よりも、発信した人にフォーカスして。

誰が言ったのか?どんな立場の人がコメントしたのか?
その人の経歴や経験は?日頃の言動はどうなのか?

このような人の評価、また発信した人と自分を比べることで。
言葉の受け止め方や感じ方が、大きく違うことがあります。

それは何かを注意された時、たとえば仕事上の判断ややり方とか。
箸の使い方や食べ方、また自分が劣っていると思っている点とか。

尊敬する上司か、それとも普段から生意気だと思っている新人からか。
愛してやまない異性か、それとも気にもならないどうでも良い異性か。
自分が理想とする先輩か、それとも自分と同等と思っている同僚か。

同じ「その判断は間違っている、そのままだと成功しない」と言われても。
同じ「箸の持ち方が違うよ」とか「それは、こう食べた方がイイ」と言われても。
同じ「そこは変えた方がイイ」とか「そのことは直すべきだよ」と言われても。

素直に言葉のとおり、耳を傾けられることもあれば。
無視したり、反発したりすることもあると思います。

それも、普段なら素直に聞ける尊敬できる上司でも。
愛している恋人でも、理想とする先輩でも。

自分の心が体が疲れているとか、ちょっとした言い回しや言い方とか。
自分の状態や相手の無意識な態度などでも、受け止め方が大きく違うでしょう。

当然、この「2代目横丁」のコメントもそうです。

同じ2代目経営者、という立場で発信しているつもりでも。
AさんとBさんでは、受け止め方が大きく違うことが起こる。

これが自然であり、あたり前のことだと思うのです。

そう。置かれた場所で咲きなさい、という言葉も。

その時、その場を受け入れて。
自分なりに懸命に咲く、という意味合いでは。

先代から事業を引き継ぎ、何の苦労もなく財産を手にして。
恵まれた環境に見えているが、実際は実を削る思いをもって。

ボンボン、アマちゃん、お嬢ちゃんと言われ反発しながらも。
至らない自分、力のない自分を反省しながら進もうとしている2代目には。

まさに、生まれ持った2代目という「置かれた場所」で。
先代の色を活かしつつ、先代ほどの大輪でなくとも。

自分なりの花を咲かすために、場合によれば別の花を咲かそうと。
まじめに精進している、周囲の人に心を砕いている2代目にとっては。

そうだよな、と共感しやすい言葉だと思います。

一方で、同じ2代目から見ても温室で育った2代目。
世間でよく言われるだけあって、決して少なくない真のボンボンやお嬢ちゃん。

ワキのアマい2代目、周囲の人に配慮もない2代目、自分を特別視している2代目。
恐らくこのような方たちは、この「2代目横丁」を読むことも、気にすることもないでしょうが。

置かれた場所で咲きなさい、と言われても。
生まれ持った2代目という置かれた場所に、疑問や悩むこともなく。

感心することも、関心を持つこともなく。
また奸臣に足元をすくわれるまで、寒心することなく。

日々を過ごしているように思えます。

もちろん、置かれた場所で咲きなさい、という言葉に。

共感した努力を重ねる2代目が偉いとか、良い2代目とか。
無関心で寒心の経験ない2代目はダメとか、悪い2代目とか。

このような話をするつもりは、1ミリもありません。

それぞれで良いのです。
自分の感じ方で、受け止め方で何の問題もないのです。

ただ「2代目横丁」は、前者の悩んだり、迷ったりしている2代目。
毎日、頭やワキに冷や汗をかき、前へ進もうとしている2代目に。

共感して、少しでもお役に立ちたくて。
さまざまなコメントや情報を発信している存在です。

ですから、置かれた場所で咲きなさい、という言葉も。

置かれた場所、生まれ持ったというだけの2代目という場所であったり。
置かれた環境や配偶者との関係で、跡を継いだ2代目という場所であったり。

自分の意志や決断より、生まれや血縁や婚姻などで2代目となって。
それでも継いだ以上は、自分なりに努力を重ねて、苦労をしている。

このような思いを持つ2代目に、伝えたい解釈があります。

置かれた場所で咲く、このような心持ちは。
環境や現状を受け入れる、心に徳のある人が持ちえる心境で。

ニュートラル、自然体、という言葉にも近くて。
まさに無の境地とは、何もないのでなく、すべてを受け入れることですから。

素晴らしい信条、目標としたい考え方になるかもしれません。

しかし、同時に。

生きるためだけに、食べ物を探して、食べて、寝て。
子孫を残すためだけに、本能のままに行動する生きものでなく。

人は、自分の意思や心や感情で行動する生きものです。
人は、自分の意志や心や感情を折り曲げて行動すると病になる生きものです。

置かれた場所がガマンできなければ、ひどければ。
そこから出て行っても良い、むしろ逃げるべき場所や場合もあるのです。

置かれた場所から出る、逃げる、避ける。
壁を乗り越えるのでなく、回り道をする、時には穴を開ける。

このような判断や行動を含めて、すべてが自然体であって。
すべてを受け入れる、そのような大きな器であると考えて良いのです。

置かれた場所で咲くという心構えや行動も大事ですが、逃げるも大事。
置かれた場所で咲くから器が大きい人なのでなく、逃げられるのも器が大きい人。

まじめな2代目の方、自らを律することができる2代目の方は。
置かれた場所に、踏みとどまり過ぎない、こだわらない。

このような行動も、ぜひ大切にして下さい。

ではでは。また。