2015年7月3日金曜日

女神に化けた魔女!

さてさて。お話の続きでございます。

越後屋がつぶやくナゾの一言。

「チャンスの女神が坊主頭」

に対して、え?坊主頭?なんでだ???
そんな思いをぶつけるように。

「でも運のイイヤツ、悪いヤツ、早く成功するヤツ、なかなか成功できないヤツ
っているじゃないですか!まるで庄内屋の若だんなと私のように!!」

と叫ぶ武蔵屋の若だんな。
どうやら、彼には越後屋の話がよくわからないようで。

そのまま、ショボン!と視線をタタミに落としてしまいました。

ま、理解できないのも仕方ないか・・・と内心は思いながら。

「いいかい、武蔵屋さん、わたしゃ~こう思っているんだ
運は単なる結果や成果が出てからの理由付け、成功するもしないも結果論・・・って」

なぜか、昔を思い出すかのように遠くを見つめて。
かみしめるように、越後屋は話を続けます。

「成功だってそう、誰でも100%成功すると最初からわかっていることはない
結果として、成功した!失敗した!となって、初めてわかるもんなんだ・・・」

今度は、目の前の杯(さかずき)の酒に。
小さく写る、自分の顔を見つめながら語る越後屋。

「だからチャンスの女神も、後からの理由付け 結果論なんだよ
もし、いたとしても、誰にも気づかれずにそっと通り過ぎて、すっ~と静かに消える」

そういうと、酒をグッ!と飲み干し、自分の杯に酒を注ぎながら。

「そう、後からアレが女神だったかも?と思ってオレは女神を見たぞ!
女神の前髪をつかんだぞ!って、ある意味のつくり話、神話にしただけと思うよ」

越後屋は、そう言うと。
武蔵屋に、最後の徳利を差し向けながら。

「まぁ武蔵屋さん、もう少しオレの酒に付き合いながら聞いて下さいな
他の誰にも言っていないんだけどね、後からつくられたチャンスの女神にもね・・・」

一段と小さな、低い声でゆっくりと語りかけます。

「・・・・実は、本当の女神と相手を呪い殺すような魔女がいるとしたら、武蔵屋さん
アンタ、いったいどう思う?恐くはないかい?私は、何より一番に恐ろしいと思うけどね・・・」

・・・すると。

「え?女神じゃなく、魔女?ですか??」

とようやく顔を上げ、徳利が差し出されているのに気づいた武蔵屋の杯に。
ホンの少しだけ、残った酒を注ぎながら大きくうなづいた越後屋は。

「そう、本当に女神と魔女がいるんだ・・・正直に話すと、私自身も何回か出会ってきた
それでね、苦労しながらね、女神か?魔女か?見抜く法則を見つけたんだけど・・・
武蔵屋さん、もしそんな法則があったら、興味があるかい?知りたいと思うかい?どう?」

と続けました。

「そりゃ~知りたいですよ!ぜひ!女神と魔女がわかればイイですよね!
・・・・あれ?待てよ・・・越後屋さんは、さっき女神なんて後付だ!いない!って
こう話していましたよね?じゃあ女神と魔女を見分けても、意味なんてないんじゃ??」

食いつくように目を見開いたと思ったら、またマユをしかめる武蔵屋に。

「そのとおり、みんなが話すようなチャンスの女神はいない、坊主頭で先にはつかめない
さっきも言ったとおり神話の世界、後から結果論として現れる女神さ・・・でもね・・・」

と武蔵屋の若だんなをじっと見つめる越後屋は。

「チャンスの女神に化けて、美しいけど、本当は恐ろしい魔女はいるんだ」

と諭すように語りかけました。

「えええ???チャンスの女神に化けた魔女??って???
よくわかんないですよ!なんなんです?その魔女は???」

間髪をいれず、言い返してくる武蔵屋の肩をポンポンと叩きながら。

「まぁ落ち着いてよ、武蔵屋さん、そう急かさないで下さいな」

と言いながら、さっ、お飲みよ!と酒を進める越後屋は。

「あれがチャンスだったのか?それともあれがチャンスじゃなかったのか?と
結果や成果が出てから、結果論として理論つげする、判断する、ジャッジする女神
これがわたしの考える、チャンスの女神、ってヤツの正体なんだけどね・・・」

自分も、杯をグッと空けながら。

「始末に悪いのは、その中に女神に化けた恐ろしい魔女がいることなんだ・・・・」

越後屋が、こう続けると。

「・・・・でも、後からジャッジって・・・女神とか魔女とかの意味がない気がしますが・・・」

合点がいかない武蔵屋は、怪訝そうな顔をしています。

「いや、そうでもない、というよりも、武蔵屋さんをはじめ、みんなの思うチャンスの女神
前髪があって、成功のために先につかむ女神よりも、ジャッジの女神の方がね・・・・・・・
・・・そうだねぇ~・・・・何倍、何十倍も大切、それくらい重要な女神だと思うけどね・・・・」

またまた、昔を思い出すように遠くに視線を投げかけながら。

「・・・・・そう考えると、庄内屋さんの1500両の大商いも、女神でなくて・・・・・・
もしかしたら魔女、しかも飛び切り性悪な魔女が関係していそうなんだよね・・・」

とつぶやくのでした・・・・・・・・。

さてさて。一体、チャンスの女神より大事なジャッジの女神とは?
その女神に化けた魔女とは?庄内屋の大商いに隠れている魔女の正体は?

この話は、次回に続きます。
お後がよろしいようで・・・。

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