2代目、3代目、4代目と代を重ねて。
老舗といわれる商家を築く商人の一例として。
「富山の薬売り」があります。
その富山商人に「七楽の教え」というものがあるそうです。
それは。
「楽すれば、楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽が、はるか楽楽」
という言葉で。
楽しようと思って楽すると、結果として楽は出来ないもの。
反対に楽しようとせず、楽しんで努力して物事に臨むことが。
はるかに楽で、そちらの方がすばらしい人生になる、という意味だそうです。
このような考え方があって「置き薬」が全国に広まって。
320年間にわたり、今も続いているそうなのです。
私たちは、2代目や3代目、またさらに代を重ねたい者として。
商売を続けること、老舗と呼ばれる商家にしていくことが。
イの一番に考えることであり、一番の目標となることだと思います。
ある経営コンサルタントの方の言葉を借りれば。
続かない商売は成功ではない、と言っても過言ではないとも感じます。
では。商売を続けるために大事なこと、とは。
別の言い方をすれば、安定した生活を維持するコツでもありますが。
それを一言で言うならば、借金せずに収入以上に支出しないこと。
いわゆる「手仕舞い」できる範囲で、商売や生活をすること。
投資をするなら、資産を生むものにするのであって。
投資と言いながら、負債を生むようなものにしないこと。
という点につきると思います。
その一方で、2代目や3代目経営者の中には。
「でもさぁ~新商品や新事業って魅力的で、手を出して儲けている人を知ってるよ!」
「株だって儲けている人が大勢いるんだから、オレだって儲けられると思うよ!」
「レバレッジを効かせた方が、商売はグ~ンと伸びるでしょう?投資しなくっちゃ!」
という考え方で、生活や商売をしている人も少なくありません。
もちろん、中には新商品や新事業で成功したり。
株で儲けたり、借金して事業投資して会社を大きくしたり。
このような2代目や3代目経営者もいますが。
新商品や新事業でつまづいたり、本業に毀損が生じたり。
株など金融商品で失敗したり、借金が膨らんで回収できなかったり。
どちらかというと、このような人の方が多い気がします。
特に何より典型的なのが、いわゆる目先の利益や快感に誘われて。
本業外へ投資を拡大したり、遊びや趣味に走ったりする2代目や3代目。
よく世間から2代目や3代目を評してささやかれる言葉。
ボンボンとか、放蕩息子と言われる跡継ぎの男性なのですが。
彼らの特徴には、思いつきやその場の感覚で投資や趣味に支出しても。
この投資は儲かるから、これは必要であって付き合いがあるからなど。
何かと理屈をつけて正当化しながら、目移りしやすい。
すぐに別のもの、もっとイイものがほしくなってしまって。
結果として、次々と支出を増やして商売を傾けてしまうとか。
周囲の人間関係を壊す、女性とのトラブルを起こすという点があります。
同時に、支出を抑えるあまりに。
俗に言う「安物買いのゼニ失い」の2代目や3代目もおります。
安い物を買ったり、少ないお金を投資したりして。
それで性能や効果に満足したり、十分な収益があったり。
支出が少なくて済むなら、その方が良いでしょうが。
得てして、安い物は性能や効果や耐久性が低くて。
修理や余分な手間に、かえってお金や時間がかかるもの。
少ない投資や安い金融商品は、収益も少なくて。
赤字が続く、不良資産となり損益が出ることもよくあります。
こちらもまた、短期間で終わるのでなく。
永く大切に使える品物、継続的に収益や資産となることが大切。
その点、最初にお話した「七楽の教え」は。
買い物で商品を選ぶ基準や投資の考え方にも使えそうです。
そう、考えてみれば。
人間関係も、商売や買い物や投資と同じく。
安いもので終わらせないためには、安物買いせずに。
「七楽の教え」をもとに、楽や見返りを考えずに投資する。
特に大切にしたい人、信用した人たち。
お客さん、取引先、友人、仲間、家族、恋人など。
このような人たちには、つくせるだけつくしてみる。
こうして。
楽を求めないで、出来る限りお金をかけ質の高い物を買って。
楽を求めないで、出来るだけつくして質の高い人間関係を築いて。
楽を求めないで、出来るだけの支出や投資をして商売を行なって。
これが買い物でも、人間関係でも、商売でも。
永く付き合える、永く続くすばらしいものとなり得るコツだと思いました。
まさに、富山商人には。
「商品を見るな、目の前の人を見ろ」
という言葉もあるそうです。
商売を考えると、ついつい商品を売り込むばかりなって。
目の前の人、つまりお客さんを見なくなってしまう。
結果、お客さんは離れて行き、商売は続かなくなるでしょう。
人間関係や買い物に出る、その人の性格やクセや価値観は。
やはり商売にも、人生にも色濃く出るものです。
「楽すれば、楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽が、はるか楽楽」
自分の商売や人生における収入にも、支出にも。
楽しようとせずに、楽しんで努力をすることで、はるかに楽になる。
この「七楽」の考え方は、いろいろな場面で大切だと思いました。
ではでは。また。
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