企業統計を見る限り、また個人的な感覚では。
少し一息をついている感がある、今年の日本国内の景気動向ですが。
市場が成熟した業種に属していることの多い老舗の中小企業で。
2代目・3代目と、事業継承をした立場の経営者の方にとっては。
ただ先代から引き継いだビジネスや会社の改革を進めるのでなく。
業種転換、M&Aによる売却や事業譲渡、自主廃業、会社整理など。
「やめる」という判断が、結果として有効だったケースが増えています。
しかし、一般的な2代目経営者をみてみると。
やめることができず、ズルズルと時代に流されていってしまったとか。
反対にやめて、新しいやり方や新規業種に手を出して大失敗したとか。
やめるにやめらない、と景気やまわりの責任にしてグチをこぼすとか。
このような話を口にする2代目は、決してめずらしい存在ではありません。
そうです。やめるにしても、続けるにしても、的確に決断しなければ。
どの道を行っても、待っているのは大きな失敗や落とし穴です。
一方で、時代の流れを上手につかんで業種転換で企業を成長させたとか。
先を見越して大きな失敗をしない、また失敗しところから立ち直すとか。
スパッ!と現状の事業に見切りをつけて企業規模を拡大していったとか。
成功を手にしたり、成果を上げたりしている経営者をみると。
引くことをしない「イケイケ」タイプに見える経営者もいますが。
やめる、撤退する、手放すといった決断が上手な経営者のほうが。
より多く存在し、単発ではなく継続的な成功や成果を手にしていると思います。
そこで。
成功を手にした人たちが、異口同音に話している成功物語(道すじ)から。
成功にいたる4つのエピソード(出会い、できごと)を判断の基準として。
継続的に成功や成果を手にしている経営者が。
的確に「やめるか?続けていくのか?」という判断をした場面を参考に。
もし、先代から継承した会社事業を。
あなたが「やめたい!」と感じているならば。
一度、次の4つのエピソードをポイントにチェックしてみて下さい。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
■エピソード1:出発(旅立ち)の時の「使命」
成功者たちが共通して経験しているのが、成功への「旅の出発」です。
多くの場合、突然のピンチやメンターと言われる「師」との出会いとか。
自分の意志とは、ある意味で関係ない事情やできごとにより出発します。
その出発(旅立ち)にあたり、成功者は「使命」を手にしています。
たとえば、子どものころ貧しかったからお金持ちになりたかったとか。
世の中の○○を解決するため、ビジネスを最初は細々と起こしたとか。
△△が好きで、その世界のAさんにあこがれて今の仕事を始めたとか。
つまり仕事やビジネスを始めた使命感、動機、真の目的といったものです。
旅立ちの時の「使命」をもう一度、じっくり自己内対話してみて下さい。
その結果、今の自分の気持ちや状況や価値観が「使命」とズレているとか。
すでに「使命」が達成できたとか。今の「使命」は、変化したと思うなら。
やめる判断をして、今のビジネスやしくみや会社を手放したとしても。
やめたことがよい経験や糧となって、新しい一歩がふみ出せるでしょう。
そして、新たな「使命」をもって。
次の事業、新しいビジネス、新しい業種へと「新たな旅立ち」を迎えて下さい。
■エピソード2:必ずやってくる「最初の(比較的に小さな)挫折」
成功への道は、ご存じのように。
決して平らな舗装されたものではありません。
成功者たちも必ずと言ってよいほど、つまずきや失敗を経験します。
しかも、旅立ちから比較的に早い時期に「最初の挫折」がおとずれます。
最初の、といっても。一つだけ、ドカーン!と起こるとは限りません。
小さな挫折が何回か起こる、ある期間はずっと続くということが多いのです。
意気揚々と旅に出てみたら、予想外の事態で足止めをくらいました。
たとえ小さな失敗でも、初めての経験ですから精神的につらいものです。
この「最初の挫折」には、2つの意味合いがあります。
それは、これが自己成長や成功への経験値を高めるために出現したのか。
または、やめたほうが良いとの警告のために出現したのかという2点です。
つまり「最初に挫折したから」と言って、早々にやめるのも。
逆に「負けるもんか!」とばかり、ムリして続けるのも。
その判断は難しく、ケース・バイ・ケースなのです。
そこで、反する2つの意味を持つエピソード(ステージ)をむかえた時は。
自分ひとりで「やめるか?続けるか?」を考えずに。
信頼のおける師匠や友人などに相談した方が良いでしょう。
なぜならどの程度の挫折か、どちらの意味か。
自分では、よくわからないことが多いからです。
この人の言うことなら、失敗でもよいという人から助言を受けて。
もちろん、最後に決断するのはあなた自身ですが。
もし、他人の言葉が素直に耳に入らない状態では。
どちらかというと「やめる」ほうが無難かもしれません。
■エピソード3:途中で得られるやすらぎ「途中の成功」
旅立ちから最初の挫折を通過すると、一定の成果や手ごたえがあります。
これは言いかえると、ホッ!と、やすらぎを得た感じがする成功です。
ビジネスが軌道に乗った、成功へのメドがついたという気持ちになります。
しかし。この「途中の成功」では油断せずに、再点検。
一息ついたところで、よし!続けてやるぞ!と思うことも多いでしょうが。
この成功は思ったとおりのものなのか?使命とのズレはないか?とか。
満足感はどうか?など、予想していた成功との度合いを比べて下さい。
というのも、手にした成功や成果は「結果オーライ」であっただけで。
本来の目的や道すじとズレた考え方で、得られたかもしれないからです。
もし、この成功や成果が「たまたま良かった」だけだとしたら。
そのまま続けると、大きな失敗で致命傷を負うこともあります。
実は。一見すると成功体験に思えるこの「失敗への罠(わな)」は。
真の成功や成果を手にする前に。
あなたの進む道を試すように、出現しているのです。
そして再点検の結果、成功だとしても、予測とズレが大きいとか。
どうも不可解な不自然な結果ではないか?という判断をしたならば。
いさぎよく、きっぱりとやめることをオススメします。
これも、自己内対話や自分ではわからない場合が多いので。
信頼のおける師匠、友人などからのアドバイスをうけてみましょう。
■エピソード4:あきらめようと思うほどの「最大のピンチ」
成功の旅もクライマックス、真の成功を手にできる直前になりました。
この場面でおとずれるのが「最大のピンチ」と言える最後の試練です。
もうやめたい、逃げ出したい、手放したい、と思えるできごとです。
そのようなことは避けたい!オレは絶対にそんなことにはならない!
石橋を叩いて渡る性格だから大丈夫!など、もしこのように思っていても。
残念ながら、成功への旅の最後の「一里塚」となると。
必ずと言ってよいほど、巨大なピンチが訪れるものなのです。
ちがう言い方をすれば、真の成功のために不可欠なのが。
実は「最大のピンチ」というものだと考えてもよいでしょう。
ここが、本当の「やめどころ」と「続けどころ」です。
これまでのすべてを振り返りましょう。
それは、旅立ちの「使命」の再確認や今の使命感との対比であったり。
「最初の挫折」を乗り越えたときの方法や助言や得た感情であったり。
「途中の成功」のときに見えた真の成功の姿や助言や情熱であったり。
ここまで体験したこと、行動したこと、方法、手法、助言などはもとより。
それぞれのエピソードのときの気持ち、感情、心のゆれなどもしっかりと。
まさに、脳の中に残るすべての記憶や思いを吐き出すようにして下さい。
自分自身でやってみるなら、大きな紙を用意して。
とにかく何もかも「書きなぐる」方法もあります。
自分ひとりでは大変だ、ムリだ、混乱していると感じているならば。
やはり、信頼のおける師匠、友人などからアドバイスをうけましょう。
その上で、当然のこととして「やめる」判断をしたのは良いとして。
たとえば、凍結する、遠回りする、逃げるなど負担の軽減を図りながら。
出来る限りの時間や心の落ち着きを手にして、試行錯誤、検討した中で。
もし「続ける」と判断して、結果的に乗り越えられたならば。
その体験によって、あなたとあなたの旅の仲間、チームは。
きっと、一まわりも二まわりも成長できます。
そして、その成長が次の旅への糧や財産となって。
新しい「旅立ち」への意欲と自信と「使命」をもたらす。
こうして、継続的に成功への旅が続いていくのです。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
ところで多くの2代目は、先代から会社や事業を引き継いだ場合に。
エピソードの1と2、旅立ちの「使命」と「最初の挫折」に関しては。
どちらかというと、たとえば「使命」というほど大げさなものでなく。
物心ついたころから自然で、そんな自覚がないままに旅を始めてしまったとか。
先代や先代からの幹部の考え方や方針で「挫折」ということもなく。
コントロールされた、守られた中で経験を積んできたとか。
エピソード3から、自分の旅は始まったと感じることが少なくありません。
中には。先代が倒れた、会社が倒産の危機に直面したなど。
エピソード4に、いきなり出会う場合も同様に少なくないでしょう。
ちがう角度からすると、エピソード1の「使命」がもろかったり。
エピソード2の「最初の挫折」の経験不足で判断できなかったり。
その結果、やめるにしても、続けるにしても。
的確性や実現性に問題が残った決断をしてしまう2代目もいます。
その一方で、エピソード3やエピソード4を経験していく中で。
エピソード1とエピソード2を経験することもできます。
たとえば大ピンチをどう乗り越えたか?により、強固な「使命」に気づく。
途中の成功に甘えて失敗したことが、大きい「最初の挫折」となるなど。
たとえ「使命感」に薄く「挫折の経験」も不十分だと感じても。
エピソード3や4の場面を経験して、的確な判断にチャレンジした上で。
やめるか?続けていくか?を考えて、より良いビジネス展開を目指してみて下さい。
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