2015年6月19日金曜日

むかし、むかし、あるご城下でのお話

え~とある城下町でのお話です。

お城の御用商人の大きな寄合いがありまして。
主だった町の商人たちが、ズラッ~と一堂に会しました。

その帰り道なんですが、一杯やろう!っていうんで。
3人のだんな衆が、料理屋さんに軽い足取りで入ってまいります。

少し年の離れた越後屋のだんなと。
同い年の庄内屋、武蔵屋それぞれの若だんなです。

そこで芸者さんをいれて、ドンチャン、ドンチャンと。
騒いでおりましたところ、だいぶお酒もすすみまして。

庄内屋の若だんなが、ふいに。

「聞いてくださいよ、越後屋のだんな!
わたしゃねぇ~スゴイ御用をお城から頂くことができたんですよ~!」

やや?トロ~ンとした目で越後屋の前へ来ると話しだします。

「ほう、そりゃ、そりゃ・・・・で。いったい、どんな御用なんだい?庄内屋さん」

越後屋は、年も離れているせいか。
芸者さんは、み~んな若い2人に追いやって。

ドンチャン、ワイワイと楽しそうに騒ぐよう芸者さんたちを盛り上げながら。
芸者あがりの料理屋の女将にお酌をしてもらい、上機嫌でおりましたが。

おや?何を言い出すんだろう?と少し困惑しながら聞きました。

「いやね、大商いです!お・お・あ・き・な・い!なんですよ!」

「大商いねぇ~・・・ほう!あんさんがずっと追いかけていたアレかい?」

「そう!そうなんですよ!越後屋のだんな!!アレ!例のアレですよ!
いゃ~嬉しくて嬉しくて!オヤジもね、大したもんだ!とホメてくれてんですよ~!」

「そいつは良かったね、庄内屋さん!
庄内屋のオヤジさんは、なかなかホメるようなお人じゃないからねぇ~!」

「ホント、そうなんですよ!めったにホメないウチのオヤジもホメてくれた!
ところで、一体いくらくらいの大商いだと思う?ねぇ~女将さん!」

庄内屋の若だんな、越後屋に寄り添っていた料理屋の女将に切り出します。

「さぁ~私には、思いもつきませんねぇ~
さぞかし大金、すごい大商いなんでしょうねぇ~」

酒席でのこの手の話に、手馴れた女将は。
まるで少女のように、ニコニコしながら聞き返すと。

「15本、じゅうご!だよ!女将さん、15!」

庄内屋の若だんなは、テンションを上げながら。
両手で1回、片手で1回、女将の前へ突き出しながら叫びます。

ココで、あまり適当なことを言って。
気分を悪くしては困るといった表情を少し浮かべた女将に。

すかさず、越後屋が助け舟をだして。

「女将、オレたちの商いは、1本といったら100両さ
だから1500両ということになるなぁ~」

と女将の耳元でささやきます。

すると、パァっとにこやかに女将が。

「まぁ!それは良うございましたね!おめでとうございます!」

やや大きな声で言いながら、庄内屋にお酌をします。

「そうでしょう女将さん!2年もガンバった甲斐がありましたよ!」

いただいたお酒をグッ!と飲み干すと、庄内屋の若だんなは。
大きな声で顔中クシャクシャにしながら、ニコニコと話すのでした。

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・・・今回から。

新シリーズ「越後屋の商い帳」をお送りします。

越後屋がいろいろと語る、商いの考え方や発想など。
実は、私の周りで実際にあった2代目経営者の話を元に。

これは忘れてはいけないな、と。
自分への戒めや教訓をまとめた寓話、作り話です。

言い換えれば、私の備忘録。
ある面では、自己満足のかたまりのようなものです。

そのためササササッ!と軽く読み流してもらうために。
架空の商人、越後屋を主人公にした物語としました。

もちろん、登場人物には実在のモデルはいますが。
現実にある同じ屋号や特定の会社、人物とは関係がありません。

その点を差し引いて、お読みいただくと幸いです。

ではでは。この話は、次回に続きます。
お後がよろしいようで。

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