2014年12月22日月曜日

年の瀬で思うこと -その2-

え~年の瀬、というお題を頂きまして。

今日は、趣向を変えて。
小話を一つ、お話しまひょ。

それは、年の瀬も押し迫った、ある忘年会の席どした。

江戸屋さん、大阪屋さん、尾張屋さんの若ダンさんが。
水炊きをつつっき、お酒飲んでワイワイガヤガヤしとりました・・・。

酔いも回った江戸屋の若ダンさん、こんなことを言い出します。

「大阪屋さん、聞いとくれやす、ウチの店な、なかなかお客さんが来てくれへん。
おとなりのお店は、店はピカピカの新築、ベッピンさんの売り子はおるわ、
ウチは、店も古い、売り子も・・・古漬けやしなぁ~・・・。」

すると、大阪屋の若ダンさん。

「江戸屋さん、ほしたら、お店も新しくして、売り子さんも雇ったらエエやないの。」

と。目の周りトロッ~とした顔で、答えはったんどす。

ところが、言い出した本人さんの江戸屋さんが。

「エエんや、ウチはコツコツと小さく商いできればそれでエエ。
そう先代のオヤジも話してましたわ~、ワテもそう思ってますのや。」

な~んてことを言わりますモンどすから。

「ほう~、えらく謙虚ですなぁ~江戸屋の若ダンさんは・・・。」

大阪屋さんもあきれて、イヤミ半分に答えたんどす。

ところが江戸屋の若ダンさん、ぜんぜん他人(ひと)の話を聞いとりません。

「いや~ほうなんです、謙虚につつましく、
これがウチの家訓ですわ!ワハハハハッ・・・。」

な~んてことをかえすわけでして。
カチ~ン!ときた大阪屋の若ダンさん。

「そら~謙虚とは違いますやろ、江戸屋さん、
変えられることを変えようと努力してないだけとちゃいますか~ね!尾張屋さん!」

と。黙って二人の話を聞いとった尾張屋の若ダンさんに、話をふったんどす。

そしたら、根がマジメな尾張屋さん。
お酒の席の話、流しとけばエエもんを。

シャキ!とされた顔をして、う~ん・・・としばらく考えてから。

「まぁ、たしかにそうかもしれまへんな。ハッキリ言わせてもらえば・・・。
江戸屋さん、あんさんは、自分を甘やかしとんちゃいます?」

と言ったモンですから、話はややこしくなって。

「そりゃ~キツイ言葉どすな~尾張屋さん!
もともとウチの店は小さいし、確かにお客さんも少ないけど。
長いことコツコツやってこれましたんや!
ほんで、大店にすするつもりもないし、
謙虚にやれれば、それでエエんどす!」

と江戸屋さんが応戦したから大変どす。

尾張屋さんも、赤い顔をもっと赤くして。

「ほうでっか、ワテには江戸屋さんは、先回りして自分を卑下して、
自分を甘やかすために、謙虚と言わはってるように聞こえますなぁ~」

と言いかえすわ、江戸屋さんも江戸屋さんで。

「ナニ言うてますやん!尾張屋さん!謙虚のどこが悪いんでっか!」

とかえすわで、せっかくの酒の席がドンドンと悪くなりまして。
こりゃ~いかん!と思いはった大阪屋の若ダンさんが仲に入ります。

「まぁまぁ、江戸屋さんも、ほんで尾張屋さんも、落ち着きなはれ。
謙虚とか、そやな、堅実というのもそうかもしれへんな、言葉としてはエエんやけど。」

と切り出したところ、またまた江戸屋さんが。

「そやろ!大阪屋さんも、そう思われるん?謙虚でエエやないの!」

と口をはさむモンどすから、大阪屋さんもムッ!としながら。

「まぁまぁ、江戸屋さん、話の腰を折らんと、聞いておくれやす!
謙虚というもんは、言葉としてはエエけど。
ヤルこと ヤラんと、口にすることもありますねん。」

と話すモンどすから、火に油。

「ヤルことヤラんて!ほなワシが商いに手ぬいてるって言うんかいな!」

と江戸屋さんは、目むいて。

「まぁ、ハッキリ言わせてもらえば、そうだとワテは思いますよ!」

と・・・。今度は尾張屋さん、横から口を突っ込むモンどすから・・・。

もう忘年会どころやおへん、ワテは帰らせてもらいます!と。
江戸屋の若ダンさん、プィ!とお座敷を出ていってしまいはりました・・・。

酔っぱらったとはいえ、この3人の若ダンさんたち。
つまらんことで感情的になって、若、といいうよりアホダンさんたちどすなぁ~。

たとえば、彼らの話に出てくる「謙虚」とか「商い」のあり方どすが。

何が正しいんか?間違(まちご)うてるんか?
何がエエんか?何が良くないんか?

だいだい世の中に広まっているこのような基準は。
どこかの誰かさんが、他のもんを押さえようとして。

世間にばらまいたり、言い訳に使(つこ)うたり。
時には自分らの権利や力を維持するために利用したり。

このように常識、とされているもんは。
実は誰かが誰かを型にハメようとして。

作ったもん、と考えてみると。

それは謙虚も、ほんで商いも同じとちゃうか?と思うんどす。

それにしても、この若ダンさんたち。
人間形成、人間関係に大切なコミュニケーション能力が。

つくづく、アカンな!低レベルや!と思うわけどすが。

たとえば社長と社員、親と子、友人や恋人でも。
人と人の会話、やり取りといったコミュニケーションも。

正しいも間違いもおへん気がします。

ほんでも、人のコミュニケーションは、時にして。
自分の意図とは違うところへ旅をします。

そうどす。コミュニケーション、というもんは。
他の人と自分だけ、とは限りまへん。

他の人に話した言葉は、そのまま自分もきいておるわけどして。

他の人との会話は、自分と自分の会話、自己内対話に。
西洋の言葉で言うたら、セルフ・コミュニケーションになるんどす。

ある意味で、他の人とのコミュニケーションより。
大事なんは、自分とのコミュニケーションかもしれまへんな。

そういう点で、謙虚という言葉は。
ええ言葉や!と思いますが。

一方で。自分をシバる、行動しないイイ訳、手抜きの材料などに。
意外と2代目の若ダンさんは、使うてるお人が多い気がするんどす。

謙虚、コミュニケーションの常識といわれるもの。
何が正しくて、間違うとるんか、何がエエもんで、悪いモンか・・・。

その意味や効果をしっかりと考えはって。

来年も、商いにお気張(ば)りやす!

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