2014年11月7日金曜日

2020年型「2代目社長の5つの指針」

6年後、2020年。

お祭り騒ぎの熱病のような東京オリンピックが終わって。
東日本大震災の復興は道半ば、そして超高齢化社会に本格的に突入していく日本。

大胆な政策や方策の転換が生まれない限り、不透明で将来展望が見えづらい時代へ。
恐らく2020年以降は、低成長経済化で社会保障等の高負担社会となっていく。

これは今の経済政策、円安や株高による大企業や投機筋の優遇と格差拡大の容認。
マクロでの日本経済全体を支えるため、ミクロの弱者は倒れても仕方ないという考え方。

この政策により、一歩ずつ確実に進んでいる方向であって。
内需型産業であり、国内市場で商売する中小企業、特に地方都市の会社は。

原油や原材料の値上げ、賃上げできずさらに加速する人手不足。
そして社会保障費負担の毎年の増加など、今日までと同様に。

政府や大企業の「エサ」となり続ける。

以前、超大手の自動車会社の購買担当は。
学校を出たばかりの新人でもできる、という話を耳にしました。

「昨年より安いですか?他社より安いですか?」といった2つの日本語。
これさえ話せれば、誰でも勤まるからと下請けから揶揄されているです。

こんな関係に支えられた最高益を少しくらい、仮に還元されたとしても。

働き手も買い手も減少する社会、内需が縮小する少子高齢化が加速する中では。

どう見ても、その場しのぎに過ぎず政府に「格好をつけている」だけ。
すでにグローバル化した大企業に、国内に後戻り選択肢があるはずもない。

このようにお考えの2代目経営者の方は、いらっしゃらないでしょうか?

多くの国民の雇用と社会保障費を支え、特に地方都市に存在する中小企業の経営環境は。
2020年を目指して、加速度的に大きな曲がり角に差しかかると思われます。

そのような2020年以降も、無事に会社を経営するために。
あと6年の間に「2020年型経営」を確立させたい。

こうした意識やお考えを持つ2代目経営者の方を対象に。
2020年以降も生き抜くための「2代目社長の5つの指針」を考えてみました。

一言でいえば「原理原則」や「基本」に立ち返ること。

そういう意味では「な~んだ!あたり前のことじゃん!」とか。
どこかで耳にした話で「別に2020年型と言わなくても」とか。

このように思われる方も、おられるかもしれませんが。

2020年に向けて、中小企業の経営環境が大変な時代になるからこそ。

シンプルな原則や基本の徹底が重要になると考えます。

すでに取り組んでおられる2代目経営者の方は、再点検の意味もこめて。

5つの方針を読んでみて下さい。

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1.ガンバラない(3割バッター社長の時代:ヒットを重ねて得点)
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野球でいえば。どんなボール、変化球が来るかわからない2020年から先の時代。

最初から「ホームラン」をねらっても、三振する可能性が高い状況です。

そこで2020年型の中小企業の社長には。

ガンバル!という姿勢で、全力や全速でスイングするよりも。
ボールを見きわめて、ヒットを狙っていく経営スタイルが主流となるでしょう。

何ごとにもこだわらず、次々とやってくる変化球にバットを合わせていく。

そう。10打席で3本ヒットを打てる「3割バッター社長」を目指して。
バット(経営の指揮棒)を振り続ける工夫と努力が大事になるのです。

相手が投げる様々なボール、つまり様々に変化する経営環境についていく。
広範囲に、多種多様に変化するボールを確実に打ち返してヒットを重ねる。

その結果、イチローが広角打法で3000本安打を達成したように。
その地域、市場などでトップクラスの成績を残すようになれるのです。

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2.10年精神で(思うような経営や会社での采配には、10年かかる)
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2代目が社長になって、誰もが異口同音に一番に苦労したというか。
2代目が社長になって、多い経営上の悩みは「人」の問題ではないでしょうか。

たとえ2020年以降でも。

あたり前のことですが、ビジネスや商売には。
業種や経営環境に関係なく、人と人との良好な人間関係が欠かせません。

いや2020年に向けて、、ネットやIT技術が発達すればするほど。
ますます人と人とのつながり、密接なコミュニケーションは重要になっていく。

特に2020年以降は、それが顕著になる可能性が高まると考えられます。

一方で、いつの時代でも。

人間関係を良好にして、スムーズに自分の依頼や要望を通すには。
気心(きごころ)を知るためにも、通常は一定の年数が必要になります。

そこで。自分の思うように人を動かして、会社経営ができ始めるには。
やはり10年ほどかかるだろう、と考えておいたほうが良いと思います。

特に。多くの2代目社長が、10年経って象徴的に実感する出来事とは。
社員に対して、思うままに「モノが言えるようになった」ということです。

御幣のある言い方をすれば、どんなガンコな古い体質の会社でも。
どうにか10年にわたり、曲がりなりに新・社長を続けていれば。
その頃には、新・社長の「人となり」の会社になっているのです。

なぜなら、会社が消えることなく社長を10年間続けることができたのも。
激しい経営環境の変化の中でも、社長の決断と行動がそれなりにできたからで。

社内でも、新しい2代目社長に対する評価や一種の社長像が完成して。
社内文化や風土も、ようやく新社長になじんだという結果とも言えるでしょう。

そこで、10年はかかる!10年はかける!という気持ちで。
変化が激しい時代だからこそ、じっくりと進めることが大切になると思われます。

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3.経営の「真北」を作る・探す(好みだけではなく、究極の目的をつくる)
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ちょっと過激な話ですので、社内では決して口にしないでほしいのですが。

劇的に社内の体制が2代目社長を中心に変わったと、社員が痛感するのは。
幹部社員の退職や解雇、そして先代からの社員のリストラの実行などです。

混乱も生じやすいので、慎重に進めないと「百害あって一利なし」ですが。
2020年型の経営環境を考えると、人と人のつながりを強く深める一方で。

社員の入れ替えやリストラなど、積極的な人事策も進めた方が良いでしょう。

なぜなら、2020年型の中小企業の組織形態を考えてみると。
社会補償費の負担の増大、ますます流動化する労働市場、慢性的な人不足など。

究極の「少数精鋭」組織でなければ、生き残れないと考えられるからです。

しかし。たとえば、社員と性格があわないから解雇したとか。
実際は違っていても、このように社員に思われる、社内で評判がたつと。

かえって社内の士気が落ちますし、組織崩壊の一因にもなります。

とは、言うものの・・・。人は、社長という立場にあったとしても。
重要な決断も、結局は好みや感情で判断してしまうことがあります。

もし古参幹部や社員が。何かと批判したり、反抗的な態度だったりすれば。
やはり感情的におもしろくありませんし、クビだ!と言いたくもなります。

そこで。2代目社長として、究極の目的「真北」を意識して頭において。
できる限り、感情や好き嫌いなどの判断を冷却することにしましょう。

「真北」とは、会社を成長させるといった究極の大きな目的や方針です。
戦略や個人の性格を超えた、会社への私心なき忠誠とも言えるものです。

「真北」と照らし合わせ、先代や古参幹部や社員の古い体質であっても。
アレはアレで、会社のためにやっていると理解するようにしていきます。

また。このような人事に関すること以外でも「真北」を応用します。

たとえば。進出したい新規事業を選んだり、立ち上げたりするときに。
「利益が出そうだ」ではなく、私心なき「真北」を判断基準にします。

「真北」とは、社員ならば誰でも共感できるシンプルなものでOKです。
2代目社長となったなら必ず「真北」を作る、または探す時間を設けましょう。

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4.社外の同志でチームを(ビジネスや経営の同志を集め、チームにする)
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現在のアメリカや欧米の中小企業では、社内の人材や資源だけでなくて。
プロジェクトごとに、複数の会社が手を組むビジネスモデルが主流です。

人数や技術やビジネス資源などが、小さくて体力の弱い中小企業では。
成長の速度や売上げや利益の向上に、おのずから限界があるからです。

日本でも2020年型の中小企業のビジネスモデルとして。
今でもすでに始まっていますが、今後はますます拡大していくでしょう。

そこで2020年型の2代目社長として、社外の人とのチームづくりは。
経営上の主要な指針の一つに、取り上げていくことをオススメします。

ただし、そのような社外の人とチームをつくるときには。

忘れてはいけない、はずす事のできない、大事なポイントがあります。

その主なものは、次の5つになります。

○能力や知識力も大事だが、志(こころざし)を共有する同志とつくること
※志とは、私的な目的や目標ではなく、社会的意義や公的な目的や目標!

○最初は、自分より「上」または「高い」人が多いチームに入るようにする
※上または高い人とは、自分が尊敬できる、あこがれる感覚を持てる人!

○「集まれば何かできる」という考えでは、何も生まないで不満足におわる
※何をしたいのか、何をつくりたいのか、先に具体的な目標がありき!!

○「会社などの援助なしで、個人で新しい道を切り開く」という人とつくる
※会社命令ではなく、みずから進んで取り組む気概を持てる人を集める!

○チームには、ムードメーカー・和みのある人・女性なども必ず入れること
※チームの効果を足し算ではなく、掛け算にするために必要なメンバー!

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5.師と出会う(自己限定を壊し、背中を押してくれそうな人に会いに行く)
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「師」というと、いろいろな説明や定義や考え方があるでしょうが。
ここでは「自己限定を壊し、背中を押してくれる人」としてみます。

自己限定とは、たとえば「カマス」という他の小魚を食べる魚がいます。

カマスを透明な仕切り板で二つに分けた水槽の一方に入れます。
そして仕切り板のむこう側に、エサの小魚を何匹か入れてやると。

小魚を食べたいカマスは、スゴイ勢いで透明な仕切り板にぶつかります。
そして何回か、鼻先をぶつけて。しばらくすると、おとなしくなります。

その後。この透明な仕切り板をとって、同じように小魚を入れてやると。
今度は、目の前をエサの小魚がゆうゆうと泳いでいるのにもかかわらず。

このカマスは小魚に襲いかかることもなく、そのまま動かずにいます。
しかも。このまま何もしないと、飢え死にさえしてしまうのです。

これが自己限定。自分で決めつけた自分の限界やカベ、思い込みなどです。
自分にその能力や資質があっても、できない!と信じて動かない状況です。

では。エサの小魚を食べなくなった、このカマスを一体どうやったら。
エサの小魚を襲うカマスへと、変身させることができるでしょうか?

それは。元気に小魚を追いかけ回し、食べてしまう別のカマスを。
同じ水槽に入れてやれば、それだけでこのカマスも食べ始めます。

このように「師」とは、あなた自身が気づかない自己限定を壊して。
背中を押してくれる経験や気づき、きっかけをもたらすような人です。

古今東西、またビジネスという分野に限らず、「師」という存在は。
新たなチャレンジ、自己成長になくてはならないものですが。

多くの場合、この「師」との出会いは。
必要な時にタイミング良く自然にやってきます。

心理学ではシンクロニシティとも言いますが、本当にシンクロしています。

たった一通のメールで、一本の電話で、他の人からのひと言で。
「師」と出会う、色々な糸口があなたの身の回りに必ずありますので。

どのような「師」を求めているか、常に自分で意識しておきましょう。

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【番外編】日本経済の崩壊に注意!(借金はしない)
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最後に、番外編として。

2020年以降を生き抜く2代目社長の指針として、大事なことなので。
改めてこの場でも、みなさんにお伝えしておきたい話があります。

それは、日本における2020年型の中小企業の2代目社長として。
金融機関からお金を借りる、資金調達をする、借金については。

今まで以上にもっとシビアに、注意深くなってほしいという話です。

とても危険なことなのに、真にその怖さを自覚している人は少ないのですが。
今の日本という国では。個人の住宅ローンでも、会社の借入金であっても。

法律の上で、債務が一生、個人を追いかけられるしくみです。

日本では「借金をする=人生をカタにとられる」しくみなのです。

たとえて、言うならば。

江戸時代は「士・農・工・商」といった身分の格差がありましたが。
現在は「政官・金融・大企業・その他」といった格差があります。

また資本主義経済のピラミッドの頂点には。
資本家、それを取り巻く金融屋がいるのが現実です。

そして資本主義の原理原則とは、他人からの搾取です。

それが投機的、というかバクチと詐欺のように国際間で行われて。
国内でも、さまざまなしくみや体制で実施されているのが日本という国です。

※このことについては、別の記事で後日また書きたいと思います。※

言いかえれば、資本主義の根本的な考え方は。

他人のふところに手をつっこんで、お金を自分のふところに入れて。
その他人のお金で自分のお金を増やす、お金でお金を増やす思想です。

ローンや借金、あとは税金や社会保障という制度は、その典型的な手法で。
どんな美辞麗句を並べてあっても、その本質は搾取の方法の一つなのです。

ある意味では、自分でコントロールや積極的に削減が出来る借金やローンと違って。

ご存じのように、今も今後も一年ごとに自動的に社会保障負担は上がり続けます。
また高速料金、宝くじなど「目に見えない税金」のしくみはアチコチに存在します。

そのため最低限の話として、いわゆる「過払い」にならないように。
できれば無借金経営と共に、無税経営の会社体質になれるように。

このような経営指針を持って、2020年までに体制を整えることは。
思っている以上に、2020年以降を生き抜くために重要になるでしょう。

2014年11月4日火曜日

成功者の物語に学ぶ「やめる力」

企業統計を見る限り、また個人的な感覚では。
少し一息をついている感がある、今年の日本国内の景気動向ですが。

市場が成熟した業種に属していることの多い老舗の中小企業で。
2代目・3代目と、事業継承をした立場の経営者の方にとっては。

ただ先代から引き継いだビジネスや会社の改革を進めるのでなく。
業種転換、M&Aによる売却や事業譲渡、自主廃業、会社整理など。

「やめる」という判断が、結果として有効だったケースが増えています。

しかし、一般的な2代目経営者をみてみると。

やめることができず、ズルズルと時代に流されていってしまったとか。
反対にやめて、新しいやり方や新規業種に手を出して大失敗したとか。
やめるにやめらない、と景気やまわりの責任にしてグチをこぼすとか。

このような話を口にする2代目は、決してめずらしい存在ではありません。

そうです。やめるにしても、続けるにしても、的確に決断しなければ。
どの道を行っても、待っているのは大きな失敗や落とし穴です。

一方で、時代の流れを上手につかんで業種転換で企業を成長させたとか。
先を見越して大きな失敗をしない、また失敗しところから立ち直すとか。
スパッ!と現状の事業に見切りをつけて企業規模を拡大していったとか。

成功を手にしたり、成果を上げたりしている経営者をみると。
引くことをしない「イケイケ」タイプに見える経営者もいますが。

やめる、撤退する、手放すといった決断が上手な経営者のほうが。
より多く存在し、単発ではなく継続的な成功や成果を手にしていると思います。

そこで。

成功を手にした人たちが、異口同音に話している成功物語(道すじ)から。
成功にいたる4つのエピソード(出会い、できごと)を判断の基準として。

継続的に成功や成果を手にしている経営者が。
的確に「やめるか?続けていくのか?」という判断をした場面を参考に。

もし、先代から継承した会社事業を。
あなたが「やめたい!」と感じているならば。

一度、次の4つのエピソードをポイントにチェックしてみて下さい。

○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○

■エピソード1:出発(旅立ち)の時の「使命」

成功者たちが共通して経験しているのが、成功への「旅の出発」です。

多くの場合、突然のピンチやメンターと言われる「師」との出会いとか。
自分の意志とは、ある意味で関係ない事情やできごとにより出発します。

その出発(旅立ち)にあたり、成功者は「使命」を手にしています。

たとえば、子どものころ貧しかったからお金持ちになりたかったとか。
世の中の○○を解決するため、ビジネスを最初は細々と起こしたとか。
△△が好きで、その世界のAさんにあこがれて今の仕事を始めたとか。

つまり仕事やビジネスを始めた使命感、動機、真の目的といったものです。

旅立ちの時の「使命」をもう一度、じっくり自己内対話してみて下さい。

その結果、今の自分の気持ちや状況や価値観が「使命」とズレているとか。
すでに「使命」が達成できたとか。今の「使命」は、変化したと思うなら。

やめる判断をして、今のビジネスやしくみや会社を手放したとしても。
やめたことがよい経験や糧となって、新しい一歩がふみ出せるでしょう。

そして、新たな「使命」をもって。

次の事業、新しいビジネス、新しい業種へと「新たな旅立ち」を迎えて下さい。


■エピソード2:必ずやってくる「最初の(比較的に小さな)挫折」

成功への道は、ご存じのように。
決して平らな舗装されたものではありません。

成功者たちも必ずと言ってよいほど、つまずきや失敗を経験します。
しかも、旅立ちから比較的に早い時期に「最初の挫折」がおとずれます。

最初の、といっても。一つだけ、ドカーン!と起こるとは限りません。
小さな挫折が何回か起こる、ある期間はずっと続くということが多いのです。

意気揚々と旅に出てみたら、予想外の事態で足止めをくらいました。
たとえ小さな失敗でも、初めての経験ですから精神的につらいものです。

この「最初の挫折」には、2つの意味合いがあります。

それは、これが自己成長や成功への経験値を高めるために出現したのか。
または、やめたほうが良いとの警告のために出現したのかという2点です。

つまり「最初に挫折したから」と言って、早々にやめるのも。
逆に「負けるもんか!」とばかり、ムリして続けるのも。

その判断は難しく、ケース・バイ・ケースなのです。

そこで、反する2つの意味を持つエピソード(ステージ)をむかえた時は。

自分ひとりで「やめるか?続けるか?」を考えずに。
信頼のおける師匠や友人などに相談した方が良いでしょう。

なぜならどの程度の挫折か、どちらの意味か。
自分では、よくわからないことが多いからです。

この人の言うことなら、失敗でもよいという人から助言を受けて。

もちろん、最後に決断するのはあなた自身ですが。

もし、他人の言葉が素直に耳に入らない状態では。
どちらかというと「やめる」ほうが無難かもしれません。


■エピソード3:途中で得られるやすらぎ「途中の成功」

旅立ちから最初の挫折を通過すると、一定の成果や手ごたえがあります。

これは言いかえると、ホッ!と、やすらぎを得た感じがする成功です。
ビジネスが軌道に乗った、成功へのメドがついたという気持ちになります。

しかし。この「途中の成功」では油断せずに、再点検。

一息ついたところで、よし!続けてやるぞ!と思うことも多いでしょうが。

この成功は思ったとおりのものなのか?使命とのズレはないか?とか。
満足感はどうか?など、予想していた成功との度合いを比べて下さい。

というのも、手にした成功や成果は「結果オーライ」であっただけで。
本来の目的や道すじとズレた考え方で、得られたかもしれないからです。

もし、この成功や成果が「たまたま良かった」だけだとしたら。
そのまま続けると、大きな失敗で致命傷を負うこともあります。

実は。一見すると成功体験に思えるこの「失敗への罠(わな)」は。

真の成功や成果を手にする前に。
あなたの進む道を試すように、出現しているのです。

そして再点検の結果、成功だとしても、予測とズレが大きいとか。
どうも不可解な不自然な結果ではないか?という判断をしたならば。

いさぎよく、きっぱりとやめることをオススメします。

これも、自己内対話や自分ではわからない場合が多いので。
信頼のおける師匠、友人などからのアドバイスをうけてみましょう。


■エピソード4:あきらめようと思うほどの「最大のピンチ」

成功の旅もクライマックス、真の成功を手にできる直前になりました。

この場面でおとずれるのが「最大のピンチ」と言える最後の試練です。
もうやめたい、逃げ出したい、手放したい、と思えるできごとです。

そのようなことは避けたい!オレは絶対にそんなことにはならない!
石橋を叩いて渡る性格だから大丈夫!など、もしこのように思っていても。

残念ながら、成功への旅の最後の「一里塚」となると。
必ずと言ってよいほど、巨大なピンチが訪れるものなのです。

ちがう言い方をすれば、真の成功のために不可欠なのが。
実は「最大のピンチ」というものだと考えてもよいでしょう。

ここが、本当の「やめどころ」と「続けどころ」です。

これまでのすべてを振り返りましょう。

それは、旅立ちの「使命」の再確認や今の使命感との対比であったり。
「最初の挫折」を乗り越えたときの方法や助言や得た感情であったり。
「途中の成功」のときに見えた真の成功の姿や助言や情熱であったり。

ここまで体験したこと、行動したこと、方法、手法、助言などはもとより。
それぞれのエピソードのときの気持ち、感情、心のゆれなどもしっかりと。

まさに、脳の中に残るすべての記憶や思いを吐き出すようにして下さい。

自分自身でやってみるなら、大きな紙を用意して。
とにかく何もかも「書きなぐる」方法もあります。

自分ひとりでは大変だ、ムリだ、混乱していると感じているならば。
やはり、信頼のおける師匠、友人などからアドバイスをうけましょう。

その上で、当然のこととして「やめる」判断をしたのは良いとして。

たとえば、凍結する、遠回りする、逃げるなど負担の軽減を図りながら。
出来る限りの時間や心の落ち着きを手にして、試行錯誤、検討した中で。

もし「続ける」と判断して、結果的に乗り越えられたならば。
その体験によって、あなたとあなたの旅の仲間、チームは。

きっと、一まわりも二まわりも成長できます。

そして、その成長が次の旅への糧や財産となって。
新しい「旅立ち」への意欲と自信と「使命」をもたらす。

こうして、継続的に成功への旅が続いていくのです。

○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○

ところで多くの2代目は、先代から会社や事業を引き継いだ場合に。
エピソードの1と2、旅立ちの「使命」と「最初の挫折」に関しては。

どちらかというと、たとえば「使命」というほど大げさなものでなく。
物心ついたころから自然で、そんな自覚がないままに旅を始めてしまったとか。

先代や先代からの幹部の考え方や方針で「挫折」ということもなく。
コントロールされた、守られた中で経験を積んできたとか。

エピソード3から、自分の旅は始まったと感じることが少なくありません。

中には。先代が倒れた、会社が倒産の危機に直面したなど。
エピソード4に、いきなり出会う場合も同様に少なくないでしょう。

ちがう角度からすると、エピソード1の「使命」がもろかったり。
エピソード2の「最初の挫折」の経験不足で判断できなかったり。

その結果、やめるにしても、続けるにしても。
的確性や実現性に問題が残った決断をしてしまう2代目もいます。

その一方で、エピソード3やエピソード4を経験していく中で。
エピソード1とエピソード2を経験することもできます。

たとえば大ピンチをどう乗り越えたか?により、強固な「使命」に気づく。
途中の成功に甘えて失敗したことが、大きい「最初の挫折」となるなど。

たとえ「使命感」に薄く「挫折の経験」も不十分だと感じても。

エピソード3や4の場面を経験して、的確な判断にチャレンジした上で。
やめるか?続けていくか?を考えて、より良いビジネス展開を目指してみて下さい。